ほんの1か月前に“精密機械”とまで言われた五輪女王が、3度も転倒──。3月23日のフィギュアスケート世界選手権で、平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ(15、ロシア)が5位に沈み、その敗因をロシアの名コーチ、タチアナ・タラソワ氏が「平昌五輪から身長が3cm伸びた」ことに起因するとコメント。それが驚きをもって受け止められた。ただ、関係者の見方は違っているようだ。
「ザギトワが“体型変化”に苦しむことはフィギュア関係者の間でも予想されていました。身長が1cm伸びるだけでもジャンプに影響が出るといわれるなかで、特に女性的な体型に変化しやすいロシアや欧米の選手が、成長期に一時スランプに陥るというのはフィギュア界ではよくある話です」(ベテラン記者)
女子フィギュア選手にとって、“女性的な体型への変化”は、決して歓迎されることではないというのだ。
1972年から全日本選手権8連覇を果たし、“絵美スマイル”で日本中を魅了した元フィギュアスケート選手の渡部絵美氏も、「胸は邪魔ですからね」と言う。
「五輪のトップにいくような選手は子供っぽい体型が多く、胸の大きい選手はなかなかいませんよね。特にジャンプでは、(胸元で)両腕を締める時に邪魔になりますし、胸が大きくなると回転が大回りになって、軸がぶれてしまう感覚があります。体に重さが出ると、怪我にも結びつきます。かつて安藤美姫さんも14歳で女子史上初の4回転ジャンプを成功させましたが、やはり女性的な体になった頃には4回転の成功はほとんど見られなくなりました」