ビジネス

アマゾンエフェクト 立ち向かう日本企業が教える3つの死角

アマゾンを切り崩す小売り勢力は現れるか(時事通信フォト)

 4月12日、『アマゾンエフェクト!~究極の顧客戦略に日本企業はどう立ち向かうか~』(プレジデント社)という本が発売される。本の帯には〈オムニチャネルを知悉した著者が解説するデジタルシフト危機への対処法〉とある。

 著者は、元セブン&アイ・ホールディングスCIO(最高情報責任者)で、現在はデジタルシフトウェーブ社長を務める鈴木康弘氏だ。同氏は、2年前までセブン&アイHDの会長兼CEO(最高経営責任者)だった鈴木敏文氏の次男である。

 2000年11月の日本上陸当初、ネット書店程度の認知度だったアマゾンは、その後あっという間に巨大化し、2016年度の小売業売上高ランキングでは1兆1747億円で7位につけている。そこで“アマゾンエフェクト”、もっと激しい言葉だと“デス・バイ・アマゾン”と称されるほどの脅威論が喧伝される昨今、もはや大手小売業でも単独ではアマゾンに抗しきれない様相になってきている。

 昨秋、セブン&アイHDがアスクルとネット利用の食材宅配サービス「IYフレッシュ」をスタートさせると、以後、楽天はネットスーパーでウォルマート(実際はウォルマート傘下の西友)と、家電分野でビックカメラとそれぞれ提携し、イオンはヤフー、ソフトバンクと組んでネット通販を準備と報じられた。

 さらに、セブン&アイHDでは3月1日付でデジタル戦略推進本部を新設し、6月から導入するグループ横断のスマホアプリ「7iD」をスタートさせる。購買実績に応じてマイルを加算し、電子マネーのnanacoポイント付与やマイルランクに応じた特典で顧客を囲い込むという。来年春ごろには、セブン銀行と連携した決済アプリも登場する見込みだ。

「グループのヨークベニマル(=食品スーパー)ではもっと利用率は高いが、セブン‐イレブンでのnanacoの利用率は約2割にとどまっており、残りはすべて現金決済のお客様」(後藤克弘副社長)

 ということから、新開発アプリでの購買誘導を急ぐ。ただ本格稼働といえるのは、前述の決済アプリとの紐付けが完了する1年後以降だ。

 また、ネット上でセブン‐イレブンのリアル店舗の商品が注文できる「ネットコンビニ」も、まず北海道の札幌市と小樽市内の15店で実証実験を開始し、2018年度末までに北海道内のセブン‐イレブン約1000店舗に拡大する。だが、こうしたセブンや他社の取り組みは一定の成果は見込めるだろうが、アマゾンを切り崩すほどの勢力にはなりえないという見方が業界関係者には多い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン