老後を見据えて、リフォームする50~60代の世帯が増えている。自宅を改造することで、どんな空間が生まれるのか。リフォームにより、広々したワークスペースを作ることができた写真家・岩本朗さん(62)と五十枝さん(71)夫婦のケースを紹介しよう。
自宅での撮影も多い写真家の朗さんのために、広いワークスペースを玄関部分に作った岩本邸。子供の独立に合わせ、部屋数を減らすことでゆとりのあるリビングと仕事場の2つに住まいを切り分けた。
「食卓を撮影台にしていた頃は場所も狭く、深夜まで撮影が及ぶと片付けが面倒でした。仕事場ができたおかげでセットを崩さずに済み、長時間の撮影も負担がなくなりました」
こう語る朗さんが“多目的極小ホール”と呼ぶ仕事場は、DIYや音楽も楽しめるように床を補強し、壁には遮音を施した。リビングは介護を見据えて畳の寝室と統合、車いすも通りやすいよう床は全面フローリングに。
「リビングにベッドがあれば孤立感も生まれず、介護にも便利と知って一間にしました。今は憩いの場として、ソファでのんびり過ごしています」(五十枝さん)
ベッドをリビングの一角に置き、可動式の白い棚で目隠しをして寝室にした。白を基調にグリーンを取り入れ、心安らぐ空間を演出している。