中国の北西部、甘粛省白銀市の中級人民法院(高等裁判所に相当)が3月下旬、1988年5月から2002年2月までの約14年間に11人の女性を殺害した食料雑貨品店勤務の56歳の男に死刑判決を下していたことが分かった。
男は2016年8月に逮捕されており、最初の事件発生から判決まで約30年間かかったことになり、警察の捜査の遅さに批判が集まっているが、男は日ごろは温厚な性格で、周囲の人々も「彼が殺人を犯すようには見えなかった」と証言。警察は「犯人の男は二重人格だった可能性が高い」と指摘している。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は19世紀末のイギリスで発生した連続売春婦殺害事件になぞらえて、「中国版切り裂きジャック事件」と報じている。
この男は白銀市在住の高承勇で、殺害した11人の女性のなかに8歳の少女も含まれている。被害女性はいずれも高が勤めていた食料雑貨品店の買い物客で、高は目星をつけた女性を尾行して、住居を割り出し、女性が1人でいるのを見計らって、部屋に押し入っていたという。
警察の調べによると、被害者は赤い服を着た女性が多く、高は精神的に赤に異常な反応を示していたのではないかと推測している。また、高は常にナイフを携帯しており、押し入った後に暴行を加え、ナイフで何回も刺しており、出血多量で亡くなった女性が多かったという。
高は当初、容疑者リストに名前はなく、逮捕されたのは偶然だった。たまたま遠縁の親戚の事件に絡んで、警察が高のDNAを採取したところ、連続女性殺害事件現場で発見されたDNAと一致。その後の警察の事情聴取で、高が犯行を自供したことで逮捕、起訴された。