テクノロジーがお金の流れを変えている。人口の多い中国ではそのインパクトも大きいようだ。拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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わずか3日間で10万元(約170万円)が消えてしまう──。ごく普通の家庭でこんなことが起きれば、間違いなく大騒ぎである。しかも、それがたった12歳の娘によって消費されたとすればなおさらだ。
いったい何が起きたのか。
実は、この謎を解くキーワードは中国でいま大きなブームが起きている「ライブ(直播)」にある。ライブとはスマホなどのアプリを通じてアクセスする個人の動画発信である。
そのほとんどはレシピや調理の実演や化粧の上手なやり方、マッサージの方法から、おすすめ商品の紹介など、あたりさわりのない実用番組なのだが、一部にはアイドル化するライブキャスターが出現したり、女性の場合にはパソコンの前でワイセツな行為するものまでいるという。
これらにはすべてアプリを通じて視聴者が「賞金」を贈ることのできるシステムがあり、発信者はその賞金を目当てに、視聴者の気を引こうとすることで、内容がどんどん過激化する傾向にあるとされている。
すでに昨年から、家の財産をつぎ込み、夫から離婚される人妻や、ワイセツな発信は社会問題化していたのだが、ここにきて未成年が大金をつぎ込むという問題が起きて大きな話題となったのである。ちなみに娘がどういう類いの配信に傾注したのかは明らかにされていないが、たいていこういう場合はキャスターがイケメン、というのがパターンである。
父親は娘からスマホ決済の暗証番号を尋ねられ何気なく答えてしまったことがあるという。娘はそれを使ってしまったらしいのだ。
父親は、子供のやったことだとして返金を求めて訴えているようだが、ニュースを扱った『北京晩報』は、父親はきちんとスマホや暗証番号を管理する責任もあるとの意見も紹介している。
それにしてもライブの集金力と潜在力を感じさせる話題だ。