日本人が内向きになったと言われて久しい。その象徴が海外留学の減少だ。在米ジャーナリストの武末幸繁氏が最新事情を報告する。
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2010年、米紙ワシントン・ポストが「日本人学生が内にこもるようになった」とのタイトルで、過去10年間に米国の大学で学ぶ日本人留学生が4割減少したと報じた。名門ハーバード大学に至っては2009年秋に学部入学した日本人はたった一人だった。あれから事態は変わったのか。
「ハーバードにいると、ここはシンガポールとかアジアの国にあるインターナショナル・スクールかと思うほどです。とても米国の大学とは思えませんね」
そう話すのは、昨年9月にハーバード大学デザイン大学院に入学した中村歩さん(仮名)だ。中村さんによれば、入学オリエンテーションに参加した新入生約400人のうち半分の200人くらいが中国人で、韓国人も60人ほどいたという。日本人は中村さんを含めてたった3人だったそうだ。
「キャンパスにはたくさんのアジア人留学生が歩いていますが、中国人と韓国人が圧倒的です」(中村さん)
ハーバード大学の学部・大学院を合わせた外国人学生は2016~2017年度で合計4900人にのぼる。うち日本人は107人(ピークだった1994~1995年度の190人超から半減)。
一方、中国人は921人(1992~1993年度の231人から4倍増)、韓国人も305人(1992~1993年度の123人から2.5倍増)と日本人を圧倒している。
学部に在籍する日本人は現在10人で、うち8人は海外一流大学の進学をサポートする専門塾「RouteH」(ベネッセコーポレーションが運営)の卒塾生だ。責任者の尾澤章浩氏は減少理由を次のように説明する。