ランニング中、飛び出してきた犬を避けようとして側溝に転び、骨折をした大阪府高槻市の40代男性が、飼い主と保険会社に3948万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は3月23日、飼い主側に1284万円の支払いを命じた。飼い主の60代女性がミニチュアダックスフンドを散歩させていたところ、突然猛烈な勢いで走り出し、女性はリードを離してしまったのだ。
愛犬が万が一、人や物に危害を加えてしまった場合に備え、どんな対策を行うべきだろうか。ペット保険に詳しいファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんが説明する。
「ペット保険は、通院や入院、手術時の費用を補償する医療保険です。そのため、賠償に対応するには、ペット保険に『ペット賠償責任特約』を付帯する必要があります」
いつ高額訴訟に発展するかわからないペットのトラブル。ペット保険加入時は、特約を付けることを忘れないようにしたいが、それだけでは足りないという。
「実はペット保険の特約は、賠償金の支払い限度額は最高1000万円と額が小さいため、今回の事件のような高額訴訟の場合、全額は賄いきれないことがあります。
そこでぜひ活用してほしいのが、火災保険や自動車保険に付ける特約や、クレジットカードで入れる個人賠償責任保険です。保険金の支払い限度額は1億円から無制限のものまであり、掛け金もペット保険に比べて安いため、コスパが良いんです」(鈴木さん)
しかも、火災保険などに付ける特約の場合、ペットのトラブル以外にも、家族が他人にけがをさせたり、お店の物を壊した時も補償してくれる。
「使い方としては、ペット保険は医療保険として加入し、賠償には火災保険や自動車保険の特約を活用するなど、2つを組み合わせるのがお得だと思います」(鈴木さん)
飼い主ができるトラブル対応策もある。ペット問題に詳しい行政書士の福本健一さんが言う。
「ペットが人や物を傷つけた時、何よりも大切なのは誠心誠意相手に謝ることです。『動物がしたことだから』と飼い主が誠意を持って対応せず、被害者が感情的になってこじれるケースは意外に多い。きちんと相手に誠意を見せれば、ほとんどの場合菓子折り1つで済むものです」
日頃の心がけも大切だ。
「ペットをよく観察し、性格を把握して噛み癖がないか、人に飛びつく傾向はないか、トラブルになりそうな兆候を見逃さないようにしておくことが大切です」(福本さん)
本来、人間のパートナーとして癒しを提供してくれるはずのペット。真逆の事態を招かぬよう、まずはペットと飼い主としての自分の行動を見直してみては。
※女性セブン2018年4月26日号