「嘘つきと言う以上は明確に私が嘘をついている“証拠”を示していただかなければいけない」──。
加計問題を国会で追及された安倍晋三首相はそう色をなして反論したが、苛立ちの理由はまさしく、次々と“なかったはずの新証拠”が出てきているところにありそうだ。
加計学園の獣医学部認可問題で官邸中枢に火が回った。〈本件は、首相案件〉という、柳瀬唯夫・元首相秘書官(現在は経済産業審議官)の発言を記録した愛媛県庁職員のメモの存在が明らかになったからだ。
多くの疑惑を乗り切ってきた官邸サイドはなおも強気な言い方をするが、安倍首相にとって、一連の公文書疑惑の展開は今までとは違う。一つの疑惑を逃げ切ったと思うと、官僚が忖度して処分したはずの不都合な記録がどこからか漏れ出し、それを首相の「天敵」である朝日新聞がスクープする。いつまで経っても「底なし沼」のように疑惑から抜け出すことができない。
◆霞が関「大粛清計画」
「どうして朝日がこんなに都合良くスクープを飛ばせるんだ。“後ろ”から鉄砲を撃たれているとしか思えない」
官邸の安倍最側近の1人は、公文書問題の噴出は朝日と手を組んだ霞が関の“謀叛”の動きだと感じ取っている。