毎年保護者の頭を悩ませているPTA問題。昔から母親にとって負担の大きいPTAだが、とりわけ最近は「入会をめぐるトラブル」が続出している。発端は昨年3月、ツイッターに投稿された「♯PTAやめたの私だ」というハッシュタグだった。女性同士の人間関係トラブルや無駄に長い会議など、PTA活動に悩む母親たちが退会するまでのプロセスを思い思いに綴り、各メディアに取り上げられる騒動となった。
『♯PTAやめたの私だ』騒動をきっかけに、“強制力はないので参加しなくてもいい”という事実が広まる一方、“やらない人は許さない”との風潮も根強くなり、両者の対立が深まっている。 その一方で、PTAの存在価値を認める声も存在する。
『ある日うっかりPTA』(KADOKAWA)の著者で書評家の杉江松恋さんもその1人。PTA会長に就任して硬直化した組織の壁にぶち当たった杉江さんは、「力を抜く」ことを方針にした。
「どうすればPTA役員が疲弊せずにすむかを考えました。PTAが使う部屋にノートを置いて、立ち寄った人は何か書くようにして、PTA便りを部屋に張るなど大学のサークルに近いノリにしました。執行部が“ユルい”感じになれば、他のメンバーも言いたいことが言えると思って、『がんばらないを、がんばろう』を裏スローガンにしたんです。そうして力を抜いた活動を続けていくと、人間関係が徐々にスムーズになっていきました」(杉江さん)
3年間の勤めを終えた杉江さんはPTAをこう評する。
「続けていたら、嫌なことと同じくらいいいこともありました。価値観の違う保護者と話し合う中で、“自分と違う人がいて当たり前”という考えが身についた。地元に友人ができたことも、PTA会長をやり遂げたからです」
タレントの千秋(46才)は、娘が小4の時にPTA広報委員を務めた。主な仕事は月1~2回、2時間の役員会だったが、PTA活動のメリットは大きかったと、かつて雑誌のインタビューで語っている。
《上の学年の人から、いろんな情報が入ってきたのはよかったです。運動会の場所取りのコツとか、『何々の準備はいつ頃から始めておくのがいい』とか、先々の情報を教えてもらえて助かりました。
同じクラスの人とは普段から話す機会があるけれど、上の学年の人はPTAでもやらないと知り合いができにくいですよね》
2013年には、秋篠宮妃紀子さまも、悠仁さまが通われるお茶の水女子大学附属小学校でPTAの学年委員を務められている。
「運動会や遠足、じゃがいも堀りなどさまざまな学校行事のお手伝いをする学年委員は、PTA役員の中でも最も大変といわれる大役です。紀子さまは率先して立候補されたので、保護者たちも感銘を受けました。結果的に、ママ友たちといい関係を築け、ご自身の成長にも繋がったようです」(学校関係者)
◆ナイーブな情報を知ることも可能に
川崎市のある中学校の国語教師は、教育者としての立場からPTAの存在を評価する。