国宝・彦根城や、ゆるキャラ「ひこにゃん」で知られる滋賀県彦根市。JR東海道本線・河瀬駅の駅前交番には規制線が張りめぐらされ、物々しい雰囲気に包まれている。
「3月から通勤時間帯に通行人に挨拶している、フレッシュな新人警官がおってね。ピシッと立って『おはようございます!』って言うて。真面目な好青年に見えたから、そりゃビックリですよ。なんであんな恐ろしいことをしたんやろか」(地元住民)
4月11日午後7時50分ごろ、同交番に勤務する19才のA巡査が、上司の井本光巡査部長(41才)を交番内で射殺するという前代未聞の殺人事件が発生した。
「A巡査は至近距離から井本巡査部長の頭部に発砲し、続けて背中を撃ちました。最初の銃弾は頭部を貫通し、ほぼ即死でした。A巡査は実弾入りの拳銃を持ったまま交番のパトカーで逃走し、その後、交番から4キロ離れた田んぼに乗り捨て、拳銃も投げ捨てて逃走を続けました」(全国紙社会部記者)
事件発生からおよそ7時間後、滋賀県警は近江鉄道の踏切内の線路を歩いていたA巡査の身柄を確保。取り調べに対し、「怒鳴られたからやった。巡査部長は椅子に座ったまま前に倒れ、ピクリともしなかったので死んだと思った」と供述しているという。
A巡査は大津市内の公立高校在学中から警官に憧れて、高校を卒業後に夢を叶えた。警察学校の厳しい訓練を経て、3月26日付で河瀬駅前交番勤務となり、「教育係」の井本巡査部長と出会った。別の地元住民は、事件の6日前に被害者、加害者双方と話したときの様子をふり返る。
「自宅近くの倉庫にあるポンプが盗まれたから110番してな。現場に来てくれたのが、亡くなった井本さんともう1人の警官とA巡査やった。井本さんが特別な指示をするでもなく、3人は役割分担して仕事をしとったね。
A巡査は黙々と現場検証をしていたので『彦根署から来たんか?』と聞いたら、『いえ、交番から来ました』と丁寧に答えたんや。線は細いけど礼儀正しくて初々しい感じの若者やったので、事件を聞いてほんまにビックリした」
“初々しい若者”の凶行に小さな町は震え上がった。
事件発生の夜、現場となった交番周辺には救急車やパトカーが集結し、けたたましいサイレンの音が響きわたった。
「A巡査が乗り捨てたパトカーの周辺に防弾チョッキに身を包んでヘルメットを被った警官が駆けつけ、えらい物々しい雰囲気やった。『犯人は拳銃を持って逃げとる』『実弾があと3発残ってる』との会話が漏れ伝わってきて、心配で夜も眠れんかった」(近隣住人)
※女性セブン2018年5月3日号