国内

やりがいある仕事求める女性多かった とらばーゆ初代編集長

「とらばーゆする」は流行語に(写真/アフロ)

 1967年、「ミニの女王」と呼ばれたイギリスの歌手ツイッギーが来日したことをきっかけに、ミニスカートが大流行。当時のOLたちの制服や通勤着にもミニスカートが取り入れられるようになった。そうして、ますます華やかで活発になったOLたちは「うちの会社の女の子」ではなく、「働くOL」としての自覚を持ち始め、会社に属することよりも仕事そのものに価値を見出すようになる。それまでは「結婚や出産をしたら辞めるもの」だった仕事に、「一生をかけたい」という願望が表れたのだ。

 それを後押ししたのが、1980年にリクルートが創刊した女性向け求人情報誌『とらばーゆ』だ。創刊時の編集長、くらたまなぶさんが言う。

「リクルートで新しい女性向けの雑誌を作ることになり、何が今の女性の関心事なのかを知るために、とにかくたくさん話を聞いた。当時リクルートは社員の半数が女性だったので、会社の内線番号を適当に押して、女性社員が出たら片っ端からアポイントメントを取って、話を聞きに行きました。社外の女性も含めると、月に500人ずつのヒアリングを半年間続けました」

 その結果、仕事に対する不満、愚痴、批判がわんさか出てきた。

〈新聞の求人欄で男子は月給20万円なのに、女子は8掛けの16万円だった〉
〈下っ端の新卒男性社員がいるのに、来客時は上司が私に『お茶を入れて』と言う〉
〈大きな仕事を回してもらえない〉

「リクルートに限らず、会社で働く女性は男性社員と女性社員の扱いの不平等さに怒っていました。なかでも彼女たちの多くが抱えていた怒りは“やりがい”に関するもので、口々に『女だって燃えるように仕事をしたい』『情熱を傾けられる仕事をしたい』と訴えていました」(くらたさん)

 女性たちの仕事に対する怒りと情熱を肌で感じたくらたさんは、満を持して『とらばーゆ』を創刊。しかし当初は読者からの「お叱り」も多かった。

「たとえば“明るい貴女に簡単な仕事です”という求人コピーを載せれば、『仕事に明るさなんて関係ない』『簡単な仕事なんてしたくないのよ!』と多くの女性に批判される。もちろん、気楽に仕事をやりたい女性もいましたが、それ以上に、“大変でもいいからやりがいのある仕事をしたい”という女性が多かったんです」(くらたさん)

◆「とらばーゆする」は流行語に

 くらたさんは批判にも真摯に耳を傾け、当時は男性しか採用しなかったトヨタのカーディーラーの求人など新しい仕事を多数掲載。努力のかいあって、「とらばーゆする」は女性の転職の代名詞として、流行語となった。当時OLをしていたエッセイストで女優のわかぎゑふさんが振り返る。

「あの頃、『とらばーゆする』という言葉がものすごく流行っていた。私も大きな企業のOLでしたが、やりがいがないからと辞めていく子たちを何人も見てきました。お給料もよかったし、居心地も悪くなかったけれど、あの頃私たちが仕事に求めていたのは、そういうことじゃなかった」

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン