臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、セクハラ問題渦中の福田淳一元事務次官の会見に注目。
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財務相が森友問題の決裁文書を改ざんしたように、誰かが音声データを改ざんしたとでも言いたいのだろうか。
財務相の福田淳一事務次官が、週刊誌によるセクハラ報道を「事実と異なる」と真っ向から否定した。会見での福田氏の釈明を聞くと、クラブかキャバクラでの女性との会話を切り取られた?とでも言いた気だが、それから約5時間後、テレビ朝日が同社の女性社員に対してセクハラがあったと発表したのだから、その発言の信ぴょう性は薄れるばかりだ。
辞任を表明した会見から見えてきた、福田氏の深層心理を探ってみよう。
嘘をつく人が隠さなければならないものは2つあると言われている。1つは真実、もう1つは嘘を隠そうとするために心の中に生じてくる感情だ。嘘を隠そうとするために生じる感情は、不安や動揺、罪悪感といったネガティブなものが多い。これらの感情も隠さなければならないのだが、ふとした瞬間にそれが仕草となって出てしまう。
嘘のサインとよく言われるのが“まばたき”である。嘘をついている時、人はまばたきの回数が極端に増えるという傾向がある。15分ほどの福田氏の会見を見ると、自分の声や女性記者に関する質問、セクハラ発言の内容や辞任理由を問われると、途端にまばたきが多くなる。逆に官邸に関する話や森友問題になるとまばたきは少なくなる。あまりにもストレートな反応なのだ。
身体の揺れも不安や動揺を表す。特に頭や身体を横に揺らす時はNOのサインとも言われている。女性記者との音声の日時について聞かれた福田氏は、「日付がないんでわかりません」と身体を揺らし、辞任理由について「現在の状況では仕事ができない」と、麻生大臣に伝えたと身体を揺らした。録音された会話については「自分の声なのかなぁ」と身体を揺らし、話しているうちに動揺やストレスが強くなってきたのだろう、身体の揺れがどんどん多くなる。隠し事がないのなら、なぜ、こんなにも身体が揺れるのだろう。
会見での返答にも、嘘と思えるサインが潜んでいた。嘘をつく人は嘘がばれることを恐れて、時間や場所など詳細について話すのを避ける傾向があるが、罪悪感からなのか否定の仕方が曖昧になりやすい。自分の声かと聞かれても、福田氏は「自分のものかどうかわからない」と否定的な言い方をしたり、「そういうものですか?」と逆質問したり。完全否定はしないのだ。