国内

最長1年2か月逃亡例も 「脱獄者」は平成だけで36人

やっぱり「塀のない刑務所」はダメ?(写真はイメージ)

 愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から4月8日に逃走した平尾龍磨・受刑者(27)。さすがにすぐ捕まってムショに連れ戻されるだろうと思われていたが、約2週間にわたって逃亡を続けている(4月19日現在)。「脱獄」というと映画や小説の世界の話ばかりかと思いきや、現代でも珍しいことではない。

 法務省矯正局によれば、「全国の矯正施設(刑務所、少年院など)からの逃走は、今回を含め平成に入って29件36人です」とのことで、1年に1件のペースで発生しているのだ。

 ほとんどのケースで数日以内に身柄が確保されているが、1年2か月にわたって逃げ続けた脱獄者もいる。1989年に熊本刑務所から脱獄した懲役18年の連続強盗・婦女暴行犯の男だ。実刑確定から4年目の脱走で、最終的には680km離れた神戸市内で逮捕された。

「作業場からくすねた材料で外部に通じるドアの合鍵を密造する用意周到な犯行だった。平尾受刑者と同様、刑務所では“模範囚”として通っていたが、“模範囚であるがゆえに刑務所内で陰湿なイジメにあったから”と脱獄の理由を語っていた」(元社会部記者)

 平尾受刑者が脱獄した大井造船作業場は初犯で45歳以下の模範囚を収容対象としているが、脱獄件数は29件中5件と突出している。

 あと数年で出所できるはずの模範囚の脱獄が後を絶たないのは、「塀のない刑務所」という同施設の構造もさることながら、獄中の人間関係も影響しているのかもしれない。

※週刊ポスト2018年5月4・11日号

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