中国陝西省西安市で、大手建設会社の下請けの子会社の社長が、親会社からこれまで5年分の代金約190万元(約3230万円)を支払ってもらえなかったことに端を発する珍事が発生。社長は高さ約30mの送電線塔に上って、3日3晩降りてこず、同市内の一部地域が停電に陥る被害がでるなど、送電線塔を占拠しての抗議行動を展開する騒ぎを起こしたのだ。
中国では、このような代金未払い問題が続出し、大きな社会問題になっており、労働者がデモや集会を行うほか殺人事件も発生するなど、昨年1年間で1万5000件もの事件が起きている。
この西安市の建設会社社長はもともと四川省からの農民工(出稼ぎ農民)で、西安市で裸一貫で会社を興し、地方からの農民工を集めて、建設事業を請け負っていた。しかし、親会社から5年もの間、従業員の給料が支払われなかったことから、ついに送電線塔に立てこもるなどの抗議行動に出たというのだ。
社長は結局、警察の説得に応じて、3日後に送電線塔から降りてきたのち、警察側が親会社と掛け合って、代金が分割で支払われることになった。
この事件のように、最終的に給料が支払われれば、めでたしめでたしだが、不幸にもそうならない場合が多いのも事実。
2016年1月には寧夏回族自治区銀川市で、給料が3年間も支払われていなかった農民工の男が路線バスに放火し、乗客17人が死亡する惨事が発生している。犯人の男は「給料が支払われないことで、家族との関係が悪化した。社会に報復するため、やった」と自供している。