「鉄道に駅があるように、道路にも駅があっていいじゃないか」。1990年、広島の小さな交流会で発せられた地元の人の言葉が、化学反応を起こして産声を上げた道の駅。今や全国で1134駅が土地柄をキュッと凝縮させて、私たちを出迎えている。それにしても、こんなに人を興奮させ、笑顔にする施設がかつてあったかしら。女性セブンの名物還暦記者“オバ記者”こと野原広子がレポートします──。
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数年前までは、温泉に行った帰りに立ち寄る程度だったが、近頃は、道の駅のハシゴをするついでに温泉にも行く。そんな声をよく聞くようになった。もちろん道の駅にも○×△があって、基本コンセプトの「24時間無料の駐車場とトイレ」「道路情報、観光情報、緊急医療情報」「観光レクリエーション施設」がそろってはいるけど…と、脱力するしかないところもある。
それだけに「アタリ」を引き当てたときの喜びといったらないのよね。全国の道の駅の1059駅を訪れた道の駅の達人・浅井佑一さんによると、「いい道の駅の絶対条件は、生鮮品がそろっていること。その上で泉質がすぐれた温泉や眺めのいいレストラン、豪華トイレ、絶品ソフトクリームなどがあると◎ですね」と言う。
私はそこに、「売り場の人が、『来てくれてありがとう』という気持ちが顔に出ている」を付け加えたい。
こうなると、われを忘れてあれもこれもと買いまくり、帰り道にその重さに後悔。でも台所に立ったら、「あれも買っておけばよかった」と後悔する。そして、また訪れずにはいられない。こんな罪深い道の駅を、この取材でまた増やしてしまった。
●新潟県『能生』
朝捕れの紅ずわいがには能生漁港に上がったらすぐに、漁師のおかみさんがゆでて冷凍・冷蔵。それが店先に山と盛られていて、どんどん試食させてくれる。そして買うと、「はい、おまけ」とさらに1杯、2杯と積み重ねてくれる豪快さ。
「すぐ食べる? 冷暖房付きの室内で、手洗い場も完備している“カニかに館”もいいけど、芝生で食べたら気持ちいいよ」
漁盛丸の中村小夜子さんにすすめられてさっそく。一度やってみたかった、かにの一気食いを、今日こそ実現できると思うと胸の高鳴りが抑えられない。
「ああ、おお、うま~」
かにまみれの幸せについ、「酒もってこ~い」と叫んでしまった。
漁盛丸に並ぶ紅ずわいがには1杯1000~4000円。かにみその入り具合が確認できるよう、腹側を上にして並べている。全国発送OK。
住所:糸魚川市大字能生小泊3596-2
営業時間:かにや横丁8~17時半
休業日:1月1日(かにや横丁は1・2月は一部店舗のみ営業)
※女性セブン2018年5月10・17日号