「最後のお別れ」となる弔辞を読み上げるのは、自分のことを本当によくわかってくれている人であってほしい──歳を重ねると、ふとそんな思いに駆られることがある。そこで各界著名人に「自分の葬式で弔辞を読んでほしいのは誰か」と聞いてみた。18歳で共産党に入党、40年以上にわたって籍を置き、党幹部まで務めた筆坂秀世氏(70)。2005年に離党し、袂を分かっただけに、「共産党の人には頼めないよ」と笑う──。
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共産党とはもう縁が切れているとはいえ、政治の世界に携わってきた人間ですから、弔辞はやはり政界の人に頼みたい。一人挙げるなら、自民党の野田聖子さん(57)です。
親交は1998年から。彼女が小渕恵三内閣で当時の史上最年少記録で郵政大臣に就任された頃でしたね。僕は参議院の交通・情報通信委員会に所属していて、所管大臣だった野田さんとお話しするようになった。あっけらかんとした性格で、党は違ってもすぐに意気投合して、連絡先を交換しました。
その後、僕は2003年にセクハラ騒動で参議院議員を辞職、共産党の要職を解任されて離党することになります。この時にマスコミを通じてコメントした女性政治家が3人いて、土井たか子さん、福島瑞穂さん、そして野田さんでした。
みなさん、批判的なコメントではなかったけど、特に野田さんは取材を受けた直後に、「こんな感じで答えましたけど、よかったですか?」と気遣いの電話をくれたのが嬉しかった。
離党直後には、野田さんが音頭を取って、東京・青山の飲み屋で激励会まで開いてくれました。