ドラマで高視聴率をとるのは以前よりも難しくなっているが、そんななかにあって立て続けにヒット作を生み出しているのがこのコンビ。TBSの伊與田英徳プロデューサーと福澤克雄監督だ。放送中の『ブラックペアン』(TBS系)もこの2人が手がけている。今、この2人が抜擢した若手女優ら“伊與ジャイ”チルドレンが急増中だ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんがその背景について解説する。
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『ブラックペアン』の1話放送後に話題を集めたのは、主人公の外科医・渡海征司郎を演じる二宮和也さんのダークヒーローぶり。研修医・世良雅志(竹内涼真)を邪魔者扱いし、外科医の高階権太(小泉孝太郎)と横山正(岡田浩暉)を冷酷に打ちのめす一方で、治験コーディネーターの木下香織(加藤綾子)から接待を受け、カリスマ教授の佐伯清剛(内野聖陽)といわくありげなやり取りを見せるなど、印象深いシーンが続きました。
渡海をはじめとする強烈な登場人物のキャスティングや、緊迫の手術シーンを手掛けているのは、伊與田英徳プロデューサーと福澤克雄監督(愛称「ジャイ」さん)コンビ。これまでTBSの看板枠・日曜劇場で、『半沢直樹』『ルーズヴェルト・ゲーム』『流星ワゴン』『下町ロケット』『小さな巨人』『陸王』を手掛けてきたエースチームの両輪です。
2人の強みは、「自分が面白いと思うものをやり切る」というブレないスタンス。キャスティング、カメラワーク、セリフ、ロケーション、セットなどの「細部まで妥協せず全力を尽くす」ことで、ダイナミックな映像や緊迫感あふれる人間模様を作り上げています。
スタッフとキャストはもちろん、大量のエキストラを含めた“伊與ジャイ”チームが生み出すパワーと一体感は強烈。たとえば、前作『陸王』では「友情・努力・勝利」という週刊少年ジャンプのような熱い世界観を作り上げました。
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