今や日本を代表する名女優となった寺島しのぶ(45才)。最新作の映画『オー・ルーシー!』(日米合作)では、“裏アカデミー賞”とも呼ばれる第33回米インディペンデント・スピリット・アワード主演女優賞にノミネート。のりにのる彼女が、時折見せる“母の顔”はあまりにいきいきとして──。
女優として数々の賞に輝き、2007年にフランス人のアートディレクター、ローラン・グナシアさん(50才)と結婚。2012年に長男を出産した。
「今は子育てが中心。その中で仕事もやると決めたので、ギリギリの綱渡りです。幼稚園の年間スケジュールが出たら、行事のあるところは、事務所に仕事を控えるようにお願いしてるんです。幼稚園が給食なので、お弁当を作らなくて済むので、それはありがたいですね。自分が仕事をしている時は母(富司純子・72才)に甘えっぱなし。いろいろな人の力を借りてここまできました」
女優と母。二足のわらじを履きこなす毎日の中で、主演映画『オー・ルーシー!』の撮影がロサンゼルスで行われた。
「その前に福岡でテレビの撮影をしていて、東京に残してきた息子には寂しい思いをさせていたんです。ロスに行く期間は、ローランの(前妻との)娘のクレアも、ちょうど日本に留学していたから一緒に行ってくれて、彼女が一日中、ベビーシッターをしてくれたんです。姉と弟でとても楽しそうだったから、私も撮影から疲れて帰ってきても2人に癒されました」
昨年、愛息は歌舞伎座で初お目見えを果たした。そこには複雑な思いもあるという。
「息子は朝から歌舞伎のビデオを見て、踊っています。彼はハーフだし、父親が歌舞伎役者じゃないから、世襲制の世界でほかの梨園の息子さんと比べたら、正直、環境の面では難しいと思います。どうやることが彼にとって最善の道なのか、主人も私の両親も考えてくれる。だから日々、家族会議です」
寺島自身の憧れでもあった歌舞伎の世界。同じ夢を抱く息子への思いを語る時、凜とした女優の顔から一転、穏やかな母の顔をのぞかせた。
「目下の願いは強靭な体力をつけること。年齢とともにリカバリーがきかなくなって(笑い)」(寺島)。忙しくても月2~3回はジムに通うそう。
寺島の仕事がオフの日には、家族そろってスキー場へ出かけるアクティブさ。「さまざまな場所で、たくさんの人に会って、いろいろなことを感じてもらいたい」(寺島)。
【プロフィール】
寺島しのぶ/てらじま・しのぶ。京都市出身。映画『赤目四十八瀧心中未遂』、『ヴァイブレータ』(ともに2003年)の演技により第27回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞。2010年には『キャタピラー』でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を獲得。近作に映画『のみとり侍』(2018年)など。
※女性セブン2018年5月10・17日号