投資情報会社・フィスコ(担当・田代明美氏)が、株式市場の4月23日~4月27日の動きを振り返りつつ、5月1日~5月11日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は上昇。小幅ながらも週間ベースでは5週連続、月間ベースでは3カ月ぶりの陽線となった。米国債市場で10年債利回りが4年ぶりに3%を突破したことが警戒されるとともに、米建機最大手のキャタピラーが「1-3月が利益のピーク」との経営陣の発言や、アップルの「iPhone X」の足元の需要懸念などが嫌気されて、NYダウは24日にかけて5日続落となった。日経平均も軟調なスタートとなったものの、為替相場が週初の1ドル107円台から週半ばにかけて109円台への円安が進行したことで指数寄与度の高いハイテク株の上昇も日経平均の上昇を支えた。北朝鮮、シリア情勢といった海外要因も悪材料につながらず、停滞する国会審議や各報道機関の世論調査による安倍内閣の支持率低迷も相場にとって影響は限定的だった。
また、日本電産<6594>は24日の決算発表後に売り買いが交錯したものの株価は上昇し、25日発表の今期業績見込みがポジティブ・サプライズとなった東京エレクトロン<8035>の株価急伸がハイテク株の地合いを好転させた。一方、今期大幅減益見込みを発表のファナック<6954>が急落し上値の重しとなった。27日正午過ぎには、日銀金融政策決定会合において賛成多数で「短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%程度に誘導する金融緩和策の現状維持」が伝えられたが、日経平均先物、現物取引、為替にも目立った反応はなく、日経平均は週末にかけて続伸し、27日の東証1部売買代金は3兆3144億円と3月27日以来となる3兆円回復に膨らんだ。
営業日数が2日間の今週から5月第2週の株式市場は、長期金利アレルギーを抱えるNYダウと為替動向を睨みつつ、もみ合いながらも日経平均は上値をうかがう動きとなりそうだ。日経平均は1月高値から3月安値に対する半値戻しを達成し、戻り待ちの売りが出やすくなっている。一方、22000円台にある75日線がサポートする底堅い動きを継続し、一目均衡表の「雲上限」(22533円)も位置する2月27日戻り高値の2万2502円が意識されてこよう。
26日に決算を発表した京セラ<6971>、アドバンテスト<6857>などが、今期業績予想を好感して一段高に買われ日経平均上昇に寄与したが、今週以降も引き続き、企業の決算発表が注目される。1日のヤマトHD<9064>、8日の三菱商事<8058>、9日のトヨタ<7203>、10日のパナソニック<6752>がそれぞれポイントになる。ソフトバンクG<9984>や富士フイルム<4901>などの大型M&A動向についても推移をチェックしたい。