今年3月に東京都が公表した大規模建築物の「耐震診断結果」は、多くの人々に衝撃を与えた。「震度6強以上で倒壊、崩壊する危険性が高い」と判断された建物に、有名な商業施設や大病院が多数含まれていたからだ。
この「耐震診断結果」は他の自治体も公表しているが、東京都のように倒壊・崩壊の危険性がある建物を「Is値」(壁構造や柱の強度、経年変化も考慮した診断結果)など各種指標を用いて3段階に分類するような結果にはなっておらず、一般の人には「その建物がどの程度危険なのか」を判断することは困難だ。
そこで本誌・週刊ポストは一級建築士らの協力を得て、建築物のすべて、または一部が「震度6強以上で倒壊、崩壊の危険性が高い」と判断された建物(幼稚園、学校、住宅、工場等を除く)をリストアップし、各施設に今後の対応策を聞いた。
今回、本誌の取材を受けた全国各地の建物の多くは、耐震工事や建て替えを検討中、あるいは、すでに着手していることが判明した。
だが、なかには困惑したり、発表そのものに不満を抱く声もあった。現行法では、耐震診断の受診と行政への報告義務があるのみで、確実に耐震化が進むかどうかは不透明で、万一、地震で倒壊して来訪者に被害が出た際の責任の所在も曖昧なままだ。