去る4月19日、高齢者・障がい者に快適な生活を提案する福祉展「バリアフリー2018」(インテックス大阪)の「HONDA」ブースで、「N-BOXスロープ仕様」発売が正式発表された。
「N-BOX」は2011年に登場以来、ファミリー層を中心に爆発的に売れており、軽自動車販売台数では3年連続1位、さらに2017年度は登録車を含む四輪総合販売台数で第1位を獲得。今や“国民的軽自動車”なのである。
そんな「N-BOX」に、車いすのまま乗り込めるスロープ仕様車が加わった。“車いす仕様車”としなかった理由を、開発責任者の白土清成さんは「『N-BOX』は、日本の家族全員を幸せにするために開発したクルマ。必要に応じて『4人乗りモード』『車いす乗車モード』に切り替えられ、スロープを活用して重たい荷物をラクに積むこともできる。家族みんなが助かって、ハッピーになるクルマにしたかったんです」と語る。
女性ひとりでも車いすを乗せられるよう研究と検証を重ねたシンプルな操作。会場では、試乗する車いすの来場者が後を絶たなかった。
◆高齢化社会の老老介護に「クルマはライフライン」
「バリアフリー2018」には車メーカーではホンダのほかに、トヨタ、日産、ダイハツ、スズキが福祉車両を出展。どのブースもスタッフの説明に真剣に耳を傾け、車両を吟味する来場者でごった返していた。
「ダイハツ」ブースで助手席が回転する「タント」の説明に聞き入っていた滋賀県在住の70代の女性は、「バスは1時間に1本しかないし、スーパーも遠い。子供たちも自分の家庭があるしねえ、クルマがなかったら、身動きとれないんですよ。そろそろ買い替えようかと思ってるんだけど、先を考えて、車いす仕様にした方がいいのかなぁとも思って…」。
すると、隣にいたご主人が「アクセルとブレーキを踏み間違っても、クルマが助けてくれるって。命拾いできるな、おれ」と、妻をひじで突いた。本当にクルマが必要な、日本のドライバーと家族とともに歩んできた軽自動車。
「もう“福祉”をつけなくていいんじゃないかと思うんです。だからこのスロープ仕様車も、他のN-BOXと並列でカタログに入れています」
白土さんの言葉が甦った。
※女性セブン2018年5月10・17日号