「どうせ処分されるなら、安倍政権に不人気政策をやらせて道連れにしてしまえ」という財務官僚たちの“自爆テロ”か、それとも安倍首相の解散戦略を潰すための深謀遠慮なのか。
スキャンダルまみれの財務省が突然、「高齢者の医療費を2倍にする」との方針を打ち出した。同省主計局が財務大臣の諮問機関・財政審議会に75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる改革案を提案したのだ(4月25日)。
自民党にとって高齢者層は大票田。その医療費負担を倍増させると言えば、選挙で反発を浴びるのは確実だ。解散ムードの自民党議員からは当然、“やめてくれ”と悲鳴が上がるかと思うと、そうではなかった。
「いまや自民党中枢は財務省人脈の政治家が牛耳っている。岸田(文雄)氏の妹の夫は“将来の次官”といわれる可部哲生・総括審議官。竹下亘・総務会長や小渕優子氏は財務副大臣経験者、総裁候補を見ても野田聖子氏の祖父(養父)野田卯一氏は元大蔵事務次官で、石破氏も財政再建論者、進次郎氏の社会保障政策も財務省の影響が強い。党内への根回しは済んでいた」(自民党政調幹部)
周到な準備のうえで、財務省は福田淳一・前事務次官の辞任が了承された翌日、“嫌がらせ”のように「医療費2倍」を持ち出したことがわかる。これは牽制にすぎない。