国内

「死ぬ前に一度だけ裸を拝ませて」など高齢者のセクハラ悪質化

老人による命を天秤にかけたお願いセクハラが横行(写真/アフロ)

 財務省の福田淳一事務次官が女性記者に「胸触っていい?」などの発言を繰り返し辞任したことを契機に、世の中では「セクハラ問題」がしきりに議論されるように。しかしその裏では、もっと悪質かつ、かわしづらいハラスメントが…。高齢者であることを盾にしたセクハラも横行している。これは「冥土の土産ハラスメント」とも呼ばれる。

 都内の介護施設に勤める女性が言う。

「入居している70代の男性に“後生だから、死ぬ前に一度だけ、裸を拝ませてくれ”と言われたことがあります。普段温厚なおじいちゃんだったし、なんだかかわいそうな気もしたけれど、ごめんねと断った。だけど、男性職員の中には、女性の入居者から“冥土の土産にキスしてほしい”とせがまれ、そのくらいならいいかと応じた人もいるそうです」

 この流れは芸能界にまで波及している。NHKの大河ドラマ『西郷どん』の会見において、32年ぶりに“大奥のドン”役として出演する泉ピン子(70才)が主演の鈴木亮平(35才)に「スマイルして!」とおねだり。鈴木が苦笑いすると、「いい冥土の土産になった」とニンマリ。会場には何ともいえぬピン子の“圧”が漂っていたという。

 このような「冥土の土産ハラスメント」が急増する理由を、『暴走老人!』(文藝春秋刊)の著者である芥川賞作家の藤原智美氏が解説する。

「まず理由として挙げられるのは、高齢者の母体数が増えているということ。団塊の世代が70代に突入し、高齢化社会はさらに進んでいる。加えて核家族化が進み、家族や地域のつながりが希薄になってきているため、高齢者たちの中で“こんなことをしたら世間に恥ずかしい”と思う気持ちが薄れてきているのです」

 恥の概念の欠落とともに、現代の高齢者たちの根底には最期にいい思いをしたいという気持ちがある。臨床心理士の稲富正治氏が語る。

「今の高齢者たちには、高度経済成長期を肩ひじ張って生き抜いて、日本を発展させてきたという自負があるのだと思います。だからこそどこかで、そのことに対するご褒美があってほしいと思っているのかもしれません。それが無意識に死を盾にした無茶な要求につながるのでしょう」

※女性セブン2018年5月10・17日号

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