米朝トップ会談で、アメリカは北朝鮮が核を完全に放棄しない限り関係改善に応じない構えだが、「北朝鮮が核を手放すことは絶対にあり得ない」と指摘するのは、拓殖大学教授の呉善花氏だ。呉氏がその見立てを解説する。
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米朝会談でトランプ大統領がどう出るかは未知数だ。韓国の右派は、38度線近くに配備されたロケット砲による反撃の機会を北朝鮮に与えず、ピンポイント攻撃できるならば北朝鮮を潰してほしいと願っているし、核放棄がない限りトランプがそう動く可能性は否定できない。
そのような事態を阻止するため、「アメリカが北朝鮮を攻撃できない雰囲気」を醸成しようと躍起になっているのが文在寅政権だ。
北朝鮮との対話路線を掲げて当選した「親北」の文在寅大統領は、平昌五輪を徹底的に政治利用し、これでもかと平和ムードを演出した。
北朝鮮からは芸術団が現地に送り込まれ、南北統一を願う歌が流れた。金正恩の妹・金与正は韓国国内で「金与正の微笑は世界を魅了した」と評価され、「モナリザのようだ」と讃える声まで出た。
五輪後も韓国のアイドルグループを中心とした韓国芸術団を北朝鮮に派遣し、南北融和を世界にアピールし続けている。
世界は「平和」「対話」という言葉に弱く、すでに戦争回避を期待する雰囲気が満ちているが、別の意味で本当に恐ろしいのは「戦争が起こらなかった」場合だ。
北朝鮮のいう「非核化」は北朝鮮の核放棄ではなく核搭載米艦艇などの退去を含めた「朝鮮半島の非核化」であり、結局のところ在韓米軍の撤退を意味する。