「るりかちゃんは、普段パソコンで書いてますか?」
「初めは手書きだったんですけど、賞に応募してパソコンをいただいてからは、パソコンで打つようになりました(笑い)」
“新人作家”らしい、こんな初々しいやりとりから始まったのは、「中学2年生の天才少女作家」と「国民的アイドル兼作家」という異色の組み合わせの対談だ。
天才少女は、小学館「12歳の文学賞」を3年連続で受賞し、昨年10月の14才の誕生日に『さよなら、田中さん』で作家デビューしたばかりの鈴木るりかちゃん(14才)。
対談のお相手は、るりかちゃんが「ファンだ」と公言する乃木坂46の人気メンバー・高山一実(24才)。乃木坂46は昨年末、レコード大賞を受賞し、名実ともに国民的アイドルグループへと成長。4月25日発売の新曲『シンクロニシティ』も発売初週でミリオン突破と勢いは増すばかり。そんな乃木坂46において、高山は文芸誌『ダ・ヴィンチ』で小説『トラペジウム』を発表するなど、作家との“二刀流”の活躍を見せている。
文芸界で新しい風を巻き起こしている若い女流作家に集まってもらい、それぞれの活動を支える「母親」への感謝の思いを語った。
高山:『さよなら、田中さん』を読んで、まず思ったのは「本当に中学生が書いたの?」。言葉のレパートリーが豊富で、文章がとてもきれい。年齢って全然関係ないんだって驚かされました。大人っぽい言葉遣いはスルスル出てくるの?
るりか:そうですね。常に読み手がいるということを意識して、ひとりよがりな文章にならないよう気をつけるようにしています。
〈るりかちゃんのデビュー作『さよなら、田中さん』はビンボーな母子家庭ながらも、小学6年生の田中花実と底抜けに明るくたくましいお母さんが毎日大笑い、大食らいで生きる日常を描いた作品。お節介な大家さんや、その息子でかつては神童と呼ばれながらもひきこもり生活を送る賢人、お金持ちの花実の同級生など、登場人物も個性的である。〉
高山:すごくユーモア溢れる作品でおもしろかった! 乃木坂46にも読んでいるメンバーが多かった。登場人物がいい人で愛くるしい。私は大家さんの息子でひきこもりの賢人がすごく好き。みんな実際に存在する人みたいで、読んでいるうちに、私も田中さんの近所に暮らす住民のような感覚になりました(笑い)。あの個性的なキャラクターは実在する人がモデルなの?
るりか:ちゃんとモデルがいる人もいるんですけど、だいたいは設定だけ実在する人からお借りして、あとは自分でストーリーを考えてます。
〈高山が書いた『トラペジウム』は、地方都市で暮らす公立高校生の東が「アイドルになる」という“大いなる野望”を達成するために東西南北へ仲間探しに奔走するストーリー。セレブの華鳥、小動物系リケ女・くるみ、リア充・美嘉ら個性的な美少女たちと夢を叶えるために奔走する青春小説だ。〉