〈「残された時間をいきいきと過ごす。これができれば悲しむのではなく『なんとめでたいご臨終』になるんです」〉
在宅医療の第一人者で『なんとめでたいご臨終』(小学館)の著者・小笠原文雄さんの訪問診療に密着した、読売新聞夕刊の連載「密着Document 自宅で看取る」(5月2日まで。全11回)の最終回で、小笠原さんが語った言葉だ。
小笠原さんが院長を務める小笠原内科には、読売新聞を手に、「親をこの記事に載っているようにしてほしい」と言って相談外来を訪れた人がいるという。
「そのかたは『入院する親が自宅に帰りたがっている』ということで相談にいらっしゃいました。以前から『なんとめでたいご臨終』を読んで、患者さんの幸せそうな姿に感動していらっしゃったそうですが、今回、第三者である記者の人が、目の前で僕と患者さんの様子を取材して書いたものだから『やっぱり本当なんだ!』って(笑い)、相談に来られたそうです」(小笠原さん)
今、在宅医療への注目がこれまでになく高まっている。超高齢社会が到来し、長く「病院で亡くなるのが当たり前」だったのが、「どこで最期を迎えたいか」を患者自身が選べる時代になってきたからだ。
その一方で在宅には、「介護地獄」「孤独死」の言葉に代表されるような不安の声もいまだ大きい。だからこそ小笠原さんが『なんとめでたいご臨終』で綴った、最期を自宅で過ごすことを選んだ人たちと家族の幸せな光景には、驚きの声が多数寄せられている。そんな読者の声を紹介する。
「一人ひとりが自分の生きたいように生きられるということが、どれだけ大切かが読んでいくとわかりました。私は医療の道に進みたいと思っています。この本を見た時に最初は少しためらったけど気になったので買って、今はこの本を読むことができてよかったと思います。これからは今まで以上に勉強を頑張って叶えたいと思います」(広島・16才女性)
「涙・涙で感動して読みました。現在は夫と2人暮らし。この先のことを考えると今まで不安でいっぱいでしたが、このような在宅ケアがあることに安心いたしました」(静岡・77才女性)
「病院で最期を迎えるのがいちばん安心と思っていましたが、この本を読み、考えが変わりました。痛みを取ってもらって、その時までマイペースで家で過ごせるなら、こんな幸せな死に方はない! しかもひとり暮らしでも看取ってもらえるなんて!」(大阪・71才女性)
「痛みや不安を取ってもらえれば、やっぱり最期まで住み慣れた家にいたいと思った。誰にでも平等に訪れる死と仲よく楽しく過ごしたいし、本の中の一人ひとりが輝いています。死、別れは悲しいのですが、人生を点で見るのではなく点と点を結んだ、生きた証の線として、その日まで歩んでいきたいです」(愛知・65才女性)
「主人を在宅医療で2年看て、病院嫌いの主人も笑って過ごせました。本当にこの本の通りでしたので、うなずきながら読みました。小5の孫も読みました」(宮城・77才女性)
「泣けて泣けて仕方がありませんでした。昨年母を亡くしまして『ああすればよかったのに』と後悔ばかりしていましたが、この本のおかげで少しは母のためになっていたのではと自分を許すことができました」(富山・61才男性)
※女性セブン2018年5月24日号