住民が移動しやすいように、その地域を走るコミュニティバス。そもそもは、高齢者や子供連れ、障害者などの交通手段として運行されるようになったもの。だが、「昨今は、観光客向けも増えています」と、日本バス友の会会長の高島俊和さんは言う。
「コミュニティバスの運行が試験的に始まった約20年前は、病院や大型スーパーなど、地域住民に特化した路線が中心でした。でも、今は都市の活性化や、観光振興のためのバスが多いですね」(高島さん・以下同)
路線バスよりも小さな車体で、同じ区間を巡回していることが多いため、ミニバスや巡回バスなどと呼ばれ、親しまれている。
「運賃は無料または、1回100円や150円で乗れます。運賃が安いのが特徴で、300円程度の1日乗車券を購入すれば、何度でも好きなところで乗り降りできます。岩手県盛岡市を走る『でんでんむし』は盛岡駅と都心部を結んで巡回。盛岡城跡公園や啄木新婚の家口など観光スポットを巡り、大人1人100円で観光気分が味わえます」
初めての場所も、見慣れた町も、思わぬ出会いや発見があるのがミニバス旅の魅力だ。具体的に、東京のコミュニティバスを紹介しよう。
東京都のメトロリンク日本橋Eラインは、東京駅八重洲口から日本橋、人形町エリアを巡回する無料バス。
「日の丸自動車興業が運行し、運賃は地元企業や団体が負担。22分間隔で運行しており、近場の移動にも便利」
日本橋界隈を散策するもよし、人形町で昔ながらの味を楽しむもよしの、1周約45分。EラインのEには、EDO、ECO、EAST、ENJOYの意味が込められており、テーマカラーの日本の伝統色の山吹色が目印だ。
続いて、東京都台東区循環バス東西めぐりんは、台東区内を走るレトロな巡回バスだ。「北めぐりん」「南めぐりん」「東西めぐりん」「ぐるーりめぐりん」の4路線が運行中。
「いちばん長距離の『東西めぐりん』は、東京国立博物館や谷中銀座、浅草雷門など、下町の主要スポットに38停留所があり、1周約90分かけて巡ります」
運賃は100円。1日乗車券は300円。
※女性セブン2018年5月24日号