昨年、7年ぶりに9000tを超える豊作となった沖縄産の黒糖。栄養価が高く、健康志向にぴったりの黒糖の歴史を読谷村で聞きました。
青空の下に広がる、さとうきび畑。風が吹くたび、緑の穂がゆれる風景は沖縄ならでは。その、さとうきびから作られる黒糖は、沖縄を代表する農産物だ。現在、黒糖は沖縄の8つの島で作られているのだが、作られる島の気候や風土によって味や形が違う。見た目の違いもはっきりわかるほどだ。
「さとうきびの品種は30以上あり、各土地に適したものが栽培されています。それに、島によって天候が異なるので、味も見た目も変わってきます。例えば、東洋のガラパゴスといわれる“西表島”は、他に比べるとやや色白でくちどけが軟らか。豊富な水源に恵まれた“伊平屋島”は、ゴツゴツした外見。“与那国島”はやや塩っ気があるのが特徴です」(沖縄県黒砂糖工業会・宇良勇さん)
製法は、1623年に中国から伝わったといわれているが、今もほぼ当時と同じ製法で作り続けている。その製法は、いたってシンプルだ。
さとうきびを煮て、汁のあくを取りながら、ひたすら煮詰める。読谷村にある黒糖加工メーカー『沖縄黒糖』では、その工程の一部始終を見ることができるが、いかに不純物を排除して、作られているかがよくわかる。
「工場が最も稼働するのは、12~4月。この時期がさとうきびの旬で、糖度を最も蓄えるため、この時期に作られたものは、深くてコクのある甘さが特徴です」(沖縄黒糖広報担当・比嘉美由紀さん)
沖縄県では、古くから黒糖を豚肉の煮込み料理の『ラフテー』や揚げ菓子の『サーターアンダギー』などに使ったり、お茶請けにして食べるなど、県民に広く親しまれている。
「黒糖はビタミンやミネラルが豊富で、沖縄県民の健康長寿を支えてきました。お料理に使うと、コクとうまみがプラスされ、肉との相性も抜群! 一口食べるだけで、脳のエネルギーにもなり、満足感も高いので、ダイエット中にもおすすめ」(前出・宇良さん)
ちなみに5月10日は“黒糖の日”。県内ではイベントが行われる。
※女性セブン2018年5月24日号