なかなか寝つけない、眠りが浅い、夜中にトイレに行きたくなって何度も目が覚める……中高年にとって「ぐっすり眠れない」のは切実な悩みだ。気温や湿度が上がるこれからの季節は、ますます熟睡することが難しくなってくる。
世の中にはさまざまな快眠法が紹介されているが、「試してみたが効果はあまりなかった」という声も少なくない。それは不眠の原因を正確に把握できていないことが大きな理由だ。睡眠に詳しい、16号整形外科院長の山田朱織医師がいう。
「眠れない原因は人によってそれぞれ違うので、その原因に合った対処法でなければ効果はありません。
大切なのは、なぜ自分が眠れないのかを把握すること。熟睡できない原因は『姿勢』『温度管理』『呼吸』『精神面』のいずれかが原因となっていることが多いといわれています」
「ぐっすり眠れるかどうか」は、スッキリとした目覚めや昼間の眠気防止につながるだけではなく、健康寿命を脅かしかねない“重大疾患”に繋がることが最新研究でわかってきている。
オックスフォード大学の研究報告によれば、熟睡できない人はそうでない人よりも「脳の萎縮」が見られる率が高く、記憶力も低下していたという。
また、睡眠時間が「6時間以下」の人は、肥満や糖尿病、心臓病の有病率が高いというデータや、睡眠時間7~8時間の人に比べて死亡率が2.4倍高くなるという報告もある。睡眠障害に詳しい雨晴クリニック副院長の坪田聡医師が語る。