熟睡できない原因のなかでも最も多いのが、睡眠時の「姿勢の悪さ」である。睡眠に詳しい、16号整形外科院長の山田朱織医師がいう。
「睡眠時の姿勢が悪いと、寝返りをスムーズに打つことができない。すると特定の部位にばかり負担がかかり、体内の血液の循環も悪くなるので、首や肩、腰などに凝りや痛みが生じます。その痛みが眠りを妨げることにつながる」
寝返りを打ちにくくしている原因のひとつと考えられるのが、「枕」だ。
「一般的には、枕選びの際に最も大切なのは『高さ』です。高すぎても低すぎてもいけません。横向きで寝たときに、頭、首、胸を結んだ線が床と平行になり、仰向けでは首が15度ほど前傾する姿勢になるものが、最も寝返りが打ちやすい理想的な枕です」(同前)
家具店などで枕を選ぶ際の目安について、睡眠障害に詳しい雨晴クリニック副院長の坪田聡医師が語る。
「適正な枕の高さには個人差がありますが、おおむね身長150cmなら5cm、160cmなら高さ6cm、170cmなら7cmが目安です。体形によって1~2cmの誤差は生じてしまうので、店頭で試してから買うのが望ましいでしょう」
『睡眠メソッド100』の著者で睡眠環境を改善してきた快眠セラピストの三橋美穂氏の話。
「これまで1万人以上の枕選びに携わってきた経験則でいえば、多くの人が自分の体にあった枕よりも高いものを選んでしまっています」
枕の材質は好みのもので構わないが、材質ごとに“寿命”が違うので注意が必要だ。