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昭和30年代の人、物、暮らしを映した写真が大人気に

写真展の会場で齋藤さんとオバ記者

 もう少しで平成が終わろうとしている今、昭和30年代の人、物、暮らしを映した群馬県・桐生市の齋藤利江さん(78才)の写真が、多くの人の目と心をわしづかみにしている。写真家になる夢を抱き、夢中でシャッターを切っていた10代の写真は、長い間、父に捨てられたと思って恨んでいたが、還暦になった年、偶然見つけたクッキーの缶に、往時のネガがびっしりと詰まっていた。そして、そこに、父の思いと昭和の現身が再び現れた──。“オバ記者”こと野原広子がその写真の魅力に迫る。

 * * *
 モノクロなのにどんな写真より鮮やかで、あの頃の町のにおい、人の声までよみがえってくるよう。これらの写真を撮ったのはどんな人? 写真に目を奪われるほどに、これを撮ったご本人に会いたくてたまらなくなった。連絡をすると、「じゃ、行きまーす」と軽い足取りで群馬県・桐生から『三丁目写真館』展(東京)を開催している小学館本社1階ギャラリーにかけつけてくれ、私の疑問に、なんの飾りもつけずに即座に返してくれた齋藤さん。会話のシャッタースピードの速さと切れが伝わるかしら…。

オバ:まずこのジャングルジムを写したときのことを教えてください。

齋藤さん:10才で父から買ってもらったカメラに夢中になった私が、高校時代にひんぱんに通ったのが梅田保育園。運営がうちの菩提寺だった縁で行きやすかったのと、きょうだいのいない私は子供たちがかわいくて、3日行かないと気になって仕方がなかったの。

 このときはモデルと決めた2人にジャングルジムに登ってもらおうとしたら、「ぼくも撮って」「私も」と、後から後からどんどん登ってくる。「危ないから下りて」と言っても、いったんふざけ始めた子供は止まるもんじゃありません。その最高潮のときにシャッターを切ったのがこれ。「はい、こっち見て」なんて言う間もないから、後ろには後頭部だけしか写っていない子もいるの。

◆親にないしょで子犬を飼っていた男の子

オバ:この写真は何がびっくりしたって少女たちの足の長さ! この子たちは? こんな絵に描いたような“少女”は絶滅しました。

齋藤さん:桐生の町中の小学校に通っていた子たちです。

オバ:少女のミニスカの下は、赤か桃色の毛糸のパンツをはいていたんだよね。みんなパンツのすそにスカートを押し込んでゴム跳びしてた。

齋藤さん:あはは。そうそう! 肩ひも、サスペンダーがついたスカートが流行っていたの。

オバ:子犬を抱いている子は?

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