5月中旬のある週末、東京・新大久保駅の改札付近は、多くの人でごった返していた。大久保通り方面へ足を向けると、道の両側には若い女性で溢れかえっている。大人数で来ている中高生らしき制服組も見かけられた。
チーズタッカルビの人気店『市場タッカルビ』の入り口にある90分待ちの札も、『アリランホットドッグ』のチーズドッグ目当ての長い行列も、もはやおなじみの光景。
彼女たちは韓流コスメで“オルチャン(美少女)メイク”を施し、屋台で買ったばかりのトッポッキやホットク(韓国の定番おやつ)を手に、スマホで自撮りしている。第2次韓流ブームが過ぎ去った後、しばらく閑散としていたこのエリアに、一体何が起こっているのだろうか?
今、韓国がアツイ。といっても、その兆しはすでに昨年から始まっていた。昨年8月に発売された『ViVi』(講談社)の韓国特集をきっかけに、10~20代のファッション雑誌では続々と韓国女子風メイクとファッションがトレンド企画となった。
昨年末に発表された『JC・JK流行語大賞』では、ヒト部門の1位に「TWICE」が、モノ部門の1位に「チーズタッカルビ」が選ばれるなど、韓流ワードが上位に。
そしてこの春、『CLASSY.』(光文社)や『BRUTUS』(マガジンハウス)、『フィガロジャポン』(CCCメディアハウス)などもこぞって韓国大特集を組むほど、ブームは広がりを見せている。韓流に詳しいある女性誌ライターが語る。
「そもそも韓流ブームの始まりは、ぺ・ヨンジュン(45才)主演の『冬のソナタ』(2002年)をはじめとする韓流ドラマ。作品や出演俳優にハマった中高年女性がロケ地を訪れるなど社会現象になりました。そして東方神起を筆頭にBIGBANG、2PMなど韓国アーティストが人気を博したのが第2次韓流ブームです(2010~2011年頃)。
その後、竹島問題など日韓関係が冷え込んで韓流ファンは肩身の狭い思いをしてきましたが、昨年から10代の女子中高生を中心とした若い世代に第3次韓流ブームが起きています。うちの娘が通う大学でも、韓国語クラスは人気のあまり、受講するための抽せんが行われているほどです」
月の半分は韓国に住みながら、韓国のコーディネーター・ライターとして活躍する東山サリーさんも、「第3次ブームは今までにないほど低年齢層が牽引している」と話す。
「今、インスタグラムで『#韓国人になりたい』と検索すると、1万件以上がヒットするんです。彼女たちは韓国=おしゃれ、かわいいという認識。コスメもファッションも、(9人組ガールズグループの)TWICEみたいにかわいくなって、イケメン韓国男子とつきあって、おしゃれなところで写真を撮りたい…っていうライトな感覚ですね。驚くのは、今の中高生はハングルが操れること。ハングルを使って、友達と秘密の手紙を書いたり、ノートに自分の名前を書いたりするそうですよ」
※女性セブン2018年5月31日号