国内

再犯重ねる高齢受刑者、「刑務所なら楽しく話ができる」とも

刑務所に舞い戻ってしまうのにも理由がある

「認知症800万人時代」が到来するといわれる現在、“塀の中”でも高齢受刑者が増え、認知症対策に追われている。一部の刑務所では、出所後の“終の棲家”探しをサポートする所さえあるが、そこまで支援しても、高齢受刑者は出所後5年で6~7割が戻って来る実情がある。刑務所側の試行錯誤は続いている。東京・府中刑務所の社会復帰支援指導担当者がいう。

「少しでも再犯率を下げようと、社会復帰支援に力を入れています。再犯して戻ってきた高齢受刑者に話を聞くと、『誰も話し相手がいない』という。刑務所に行けばみんな同じ境遇で雑居に入り、楽しく話ができるというんです。

 そこで、出所後に孤独にならないために、グループワークでは例えば文化センターの窓口でどう話しかけたらいいかといったことをロールプレイングするのですが、それすら簡単にはいかない。生活保護など公的支援についても驚くほど知識がないので、そうした指導も一から行ないます」

 2006年に受刑者処遇の法制度が変わり、受刑者は従来の刑務作業に加えて、再犯防止のための「改善指導」を受けることが義務化された。そこで重点的に取り組まれているのが「就労支援」だ。60代でも働くのが当たり前の時代、就労の経験が乏しい高齢受刑者にビジネスマナーの基本を教え、履歴書の書き方、面接での話し方なども指導するという。

「力を入れているのが、ハローワーク等と繋がりのある専門スタッフによるサポートです。受刑者に面接し、実際に就労を希望する地域で出所者向けの求人を調べる。希望にマッチするものがあれば、コンタクトを取って受刑中に面接に来ていただくこともある」(府中刑務所総務部調査官の高杉春之氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン