ビジネス

日本で大小約1000も 企業博物館はなぜこんなに増えたのか

印刷博物館ではワークショップも開催している

 近年、企業博物館の新規オープンやリニューアルが盛んだ。その企業博物館は、1000か所前後もあるという。なぜ企業は博物館を作るのか。凸版印刷が開設した「印刷博物館」の館長で、産業文化博物館コンソーシアム座長の樺山紘一氏が解説する。

 * * *
 現在、日本には大小合わせて、およそ1000ほどの企業博物館があるとされています。これは世界的に見ても際立った数でしょう。

 多くの企業が博物館を設立した理由には、高度成長期を終え、バブル崩壊を経験したことで「自分たちの文化や生き方について再考すべきだ」という機運が高まったことが挙げられます。そのタイミングと重なるように、明治期に創業した大企業が軒並み100周年を迎えたのも大きい。2000年前後に、多発的にいくつもの企業博物館がオープンしました。私どもの印刷博物館も、その時期に設立されました。

 そんな中、博物館同士の経験交流や連携を目的として、2008年に産業文化博物館コンソーシアム(COMIC)を創設しました。日本を代表する巨大博物館と並んで、小規模のものでも、たとえば江戸時代から紅を専門に扱う伊勢半本店の「紅ミュージアム」など、実に興味深い展示を行なっている企業はたくさんあります。どんな産業にも長い歴史があり、それぞれの企業が誇る傑作がある。震災や戦争を乗り越えて、そんな品々が展示されているのを見ることができるのは感動的ですらあります。

 国営の大規模な博物館と比べ、民間企業が運営する企業博物館の見どころを強調するなら、あらゆる展示物が切実な産業活動の結果として生まれたものである、という点でしょう。企業が作り出したひとつひとつの製品には、リアルな失敗談や成功体験、そこに至るまでの血の滲むような努力、そんな物語が詰まっているのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン