臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、日大アメフト部の危険タックルの映像に注目。
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誰が見ても危険な反則行為である。アメリカンフットボールの定期戦で、日本大学の選手が無防備な状態だった関西学院大学の選手に後からタックルした。タックルされた選手は右ひざなどをケガし、関西学院大は日大に抗議文書を送付。ところが、日大から届けられた回答書は、関西学院大の疑問や疑念を払しょくするものではなかった。
会見を開いた関西学院大の小野宏ディレクターは、終始、暗い表情で回答書の内容を話し始めた。疑念となっていた反則行為が内田正人監督からの指示だったのかという点については、「指導者の教えと選手の理解にかい離があった」と回答され、指示は否定。それでも疑念を解消できず、内田監督の「これぐらいやっていかないと勝てない」という試合後の発言も紹介しつつ、この発言が撤回されたことも明らかにした。
関西学院大の鳥内秀晃監督も、「私であれば」と質問者を見据えながら「1つ目のプレーで、(反則した選手を)ベンチに下げて、求めている厳しさはああいうことじゃないと、言いますね」と、自分の言葉や気持ちを強調するように、何度も頷いていた。反則は、2度、3度と繰り返されたのだ。危険なタックルについて聞かれると、「40年近くやっていて、ああいうプレーは初めて見ました。絶対にありえない」と、質問者を見つめて語気を強めた。そして「暴力ですよ」と口をへの字にして、瞬間的に頬を膨らませ、憤りを露わにする場面もあった。
「同じようなプレーが関西学院大で起きたら?」との質問には、身体を起こしてわずかに左肩を後に引いた。胸を張ったようにも見えるその仕草で、「うちのチームでは絶対にありえません」と何度も首を横に振った。そこから自身が安心安全を優先させ率いてきたチームへの自信と信頼が透けて見える。それだけに、内田監督の責任について「現場の責任者は監督」と話す時の目に厳しさが増した。ケガを負った選手に対して「まず謝罪に来るのが筋」と話す声も、ひと際、強く大きくなった。
「何で彼だけがああいうプレーをしたのか?」、「なぜ1つ目でベンチに下げなかったのか?」。鳥内監督がそう話したように、日大は否定したものの、試合の映像で時折映る内田監督の後ろ姿を見ると、監督の指示は本当になかったのか疑問に思えてしまうのは確かだ。
というのも、反則行為が起きた時の映像を見てみると、アメフト経験者が信じがたい、見たことがないという行為が目の前で行われたというのに、立ったまま試合を見ている監督の身体には目立った動きが何も見られないのだ。その後ろ姿からは、「何をやっているんだ!」でも「何が起きた?」でもなく、反則に対する瞬間的な反応や、驚き、怒り、焦りといった感情の動きは何も感じられない。