今、小学校における教育がどんどん変化している。この4月からは「道徳」が教科となり、2020年からは「プログラミング教育」が必修化される。また、英語についても現在は5・6年生での「外国語活動」が導入されているが、2020年からは「外国語」が5・6年生において教科化し、「外国語活動」の対象は3・4年生となる。
なぜ今、このような授業改革が行われることになったのか。教育研究家で文部科学省・学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さんはこう解説する(以下、「」内同)。
「AIの進化に対応できるよう、子供たちの企画力やクリエイティビティーを高めなければならない時代になってきています。また、人生100年時代といわれ、政府も長寿社会における教育を意識し始めました。人類の寿命が延び、世の中がめまぐるしく変化を遂げるなか、今の小学生が社会人になる頃にはさらなる大きな変化があるでしょう。そうした時代を幸せに生き抜くための学びを意識するようになっています」
その1つが、古くからの日本の教育の特徴である“知識偏重”からの路線変更だ。
「知識が豊富でペーパーテストの点数が高ければそれでいい、という時代ではなくなってきています。Google等で検索すれば多くのことがわかる時代では、知識や情報の量よりもそれを何にどう使えるかが大事です。問題解決や創造のスキル、主体性や学び続ける力などの人間性は日本はもちろん、各国でも大変重要視されてきています」
それは「道徳」「英語」「プログラミング」だけでなく、既存の教科についてもいえる。国語や社会、理科などでもすでに探究的な活動やグループワークなどが増えており、今後さらに推進される見込みだ。
「答えが1つとは限らない問題について考えさせる授業や、友達と一緒に協力しながら解いていく教材が以前よりも増えてきました。教師が一方的に教え、受動的な学びだけではAIに使われる側になるでしょう。子供たちが自ら考え、対話しながら進める学びをより採り入れていくことが必要とされています」
数年前から教育現場では「アクティブラーニング」なる学習手法が期待されてきた。これは「主体的」「対話的」「深い学び」を目的としたもので、今後はそうした学習内容へと大きく舵がとられるとされているが、課題もある。
「すべての子供が意欲的で主体的に学べるとは限りません。一度つまずいたり、苦手意識を持ってしまった場合に救済する手立てはあまり確立していないと思います。家庭事情や先生の授業方法が悪く意欲的になれない子は、どんどん置いていかれる可能性もあり、学力差が拡大してしまうことも懸念されます」
子供の明るい将来を開ける改革が大切だ。
※女性セブン2018年5月31日号