ライフ

池の水を全部抜かなくても魚が何匹いるか推計する方法がある

釣りの腕前がなくても池の魚の推計は導き出せる

 池に大量発生する外来種の魚などを捕獲する『池の水ぜんぶ抜く大作戦』(テレビ東京系列)が人気となっているが、わざわざ水を抜かなくても池に何匹の魚が泳いでいるか見積もることはできる。ニッセイ基礎研究所・主任研究員の篠原拓也氏が説く推計方法とは?

 * * *
 確率や統計の分野は、難解な専門用語がたくさん出てきてとっつきにくい。いくつか例を挙げると、「歪度(わいど)・尖度(せんど)」、「帰無仮説」、「多重共線性」、「交絡因子」、「尤度(ゆうど)比」といった感じだ。

 こうした用語を、日常生活で使う人はかなり限られるだろう。一般に、専門用語を使った話は実感が伴わず関心が持たれない。むしろ、確率や統計では具体的な問題をもとに考えてみるほうが興味がわきやすい。例えば、「ある池に、魚が何匹いるのか?」を推計するといったことだ。

 以下では、2つの推計の方法を考えてみよう。

 まず、1つ目の方法。この池から、適当に20匹の魚を釣って、標識となる札をつけて池に戻す。しばらくしてから、30匹の魚を釣ったところ、15匹に標識がついていた。このとき、この池には何匹の魚がいると推計されるだろうか。

 1回目の釣りで、池全体の魚のうち、20匹に標識をつけた。2回目の釣りでは、30匹のうち15匹に標識がついていた。1回目と2回目の釣りで、標識のついている魚の割合は同じと仮定する。すると、「(池全体の魚の数):20匹=30匹:15匹」という、比の等式ができる。これを解いて、池全体の魚の数=40匹となる。つまり、この池には、40匹の魚がいると推計されることになる。

 ただし、この推計にはいくつか前提条件があり、注意が必要だ。まず1つ目に、魚が池全体に均等に分布していること。2つ目に、1回目と2回目の釣りの間の時間が十分にあって、その間に魚が池の中で回遊して混ざり合うこと。3つ目に、そうは言ってもあまり時間があきすぎると、その間に死亡したり誕生したりする魚が出てしまうので、2回の釣りの間隔は適度にとどめること。最後に、過去に同様の推計を実施したために、最初から標識がついているような魚がいないこと、などである。

 この方法は、理論的には申し分ない。しかし、実際にやろうとすると結構大変である。まず、20匹の魚を釣って1匹ずつ標識をつけなくてはならない。そして、しばらく時間を置いた後に、30匹の魚を釣る。合わせて、50匹の魚釣りが必要となる。これを1人でやるためには、相当な釣りの腕前が必要となるだろう。

関連記事

トピックス

ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
1985年、初の日本一は思い出深いと石坂浩二さんは振り返る(写真/共同通信社)
《阪神ファン歴70数年》石坂浩二が語る“猛虎愛”生粋の東京人が虎党になったきっかけ「一番の魅力は“粋”を感じさせてくれるところなんです」
週刊ポスト
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
コムズ被告主催のパーティーにはジャスティン・ビーバーも参加していた(Getty Images)
《米セレブの性パーティー“フリーク・オフ”に新展開》“シャスティン・ビーバー被害者説”を関係者が否定、〈まるで40代〉に激変も口を閉ざしていたワケ【ディディ事件】
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン