昨今海外セレブがSNSで披露したことなどもあり、「MIX犬」が人気となっている。MIX犬とは、マルチーズ×プードルの“マルプー”やチワワ×ダックスフンドの“チワックス”など、異なる犬種をかけ合わせた犬のことだ。全国でペットショップを展開する「ペットの専門店コジマ」では、約15年前からMIX犬の取り扱いを始めた。
「当初は見たことがない、変わった犬種として驚くかたも多かったのですが、最近はMIX犬を目当てに来店されるかたも増えました」(コジマ営業部・岸本勝行さん)
日本ではMIX犬をペットショップで購入するケースが一般的。雑種といえど、MIX犬の価格は血統書付きの犬種と変わらないという。
そんなコジマで、今人気のMIX犬ベスト5を教えてもらった。その結果、1位はマルプー、2位はマルチワ、3位はチワプー、4位はマルポメ、5位はチワックスと、いずれも小型犬同士をかけ合わせたMIX犬があがった。
「小型犬同士のかけ合わせが人気なのは、日本独特の傾向。かわいさもさることながら、日本の狭い住宅事情も関係しています」(犬の幼稚園「わんこラボ」の奥田香代さん)
◆病気にかかりにくいメリットあるが成長過程で何が起こるかわからない
MIX犬の魅力は見た目のよさだけではない。個体差はあるものの、特定の遺伝性疾患が出づらいことがわかっていると、白金高輪動物病院総院長の佐藤貴紀さんは話す。
「純血種は“好発犬疾患”といい、病気になりやすい部分があります。あくまで可能性の話ですが、MIX犬の場合、その弱い部分が補われ、病気になりにくいといわれています」(佐藤さん)
しかし逆もいえ、場合によっては両親の弱い部分だけ出てしまうケースもあるという。さらに前出の奥田さんは、サイズや毛の色など、子犬の時点ではどう成長するか読めないのも特徴だと話す。
「例えばマルプーの場合、マルチーズの成犬は2~3kgですが、プードルは7~9kgになる子も。小さい子を希望していたのに、大きくなったという話もよく耳にします。子犬の時では、両親どちらの犬種の血が濃く出てくるかわからないので、飼い主はどのように変化するか成長を楽しめるとともに、想定外だったとクレームをつけるケースもあるようです」(奥田さん)
犬を飼うなら一生責任を持つ。これは、MIX犬に限らず、いえることだ。 日本では小型犬同士のMIX犬が人気だが、世界には他にも多様なMIX犬が存在する。そんななか、問題も出てきているという。
「世界では、体の大きさがかなり違う犬同士をかけ合わせるケースがあります。そういう犬たちがどう成長し、どんな病気を抱えるか、エビデンスがないため、将来が予測不能。珍しい病気にかかる可能性もあります」(佐藤さん)
現在、MIX犬は犬種として認められていない。しかし今後、さらに普及し、エビデンスがそろったり、審査基準などが整ったら、正式な犬種として認められる可能性はあると、奥田さんは言う。そうなると、マルプーやマルチワという血統書ができるかも?
※女性セブン2018年5月31日号