国内

44年ぶりに患者5000人超の梅毒 無知と無神経で感染激増

早めに検査を

 感染症の拡大を防ぐには、その感染源を取り除くこと、感染経路を絶つこと、予防すること。この3つが重要な対策になる。たとえば空気感染する麻疹にかかった疑いがある場合は、そのまま病院に行って移動中も含めて感染の可能性を拡大させるのではなく、自宅から医療機関へ直接、電話で問い合わせるように呼びかけられている。ところが、自分は麻疹かもと疑いながらも出勤しようとする人がいたり、感染症は予防こそ重要だという意識が欠落している人がいる。ライターの森鷹久氏が、近ごろ急増している性感染症のひとつ「梅毒」をめぐる、感染症の恐ろしさを認識できない人たちが起こす混乱についてレポートする。

 * * *
 梅毒患者が増え続けている。

 筆者も過去に、梅毒患者数の増加と、その理由について解説してきたが、まさかこれほどまでに「増加」し続けるとは思ってもいなかった。

「まさに“パンデミック”と呼びたくなるような増え方。はっきりって有効な対処のしようがなく、感染が拡大し続けている状況。諸説ある感染ルート、そして実際の患者数がどれくらいなのか、国は正確に把握することが出来ていません」

 こう話すのは、大手全国紙の厚生労働省担当記者。2012年に875人だった梅毒患者は2017年、暫定値で5800人を超えた(国立感染症研究所調べ)。5000人以上の患者数が確認されたのは44年ぶり。本当に現代に起きている事なのかと戦慄する事態なのだ。

 梅毒患者の急増については、外国人観光客が日本国内の性風俗店を利用するなどして感染が広まっているという説が根強く、筆者が複数の性風俗店を取材しても、同様の声が聞かれた。また「梅毒」といえば、衛生事情がさほど良くなかった遠い過去に流行った病気だからあり得ない、という認識があることも、感染拡大の要因の一つだろう。都内の性風俗店経営者が解説する。

「梅毒に罹患する女の子が増えたのは事実です。とある業者は、中国や台湾からやってくる風俗ツアー客を受け入れ、店に在籍していた女性の複数人が感染した、とも話しています。女の子には定期的な検診を勧めており、中には“定期健診済み”を謳い、客を安心させようとしていますが……。当たり前ですが、なんの安心材料にもならない」

 性風俗店に在籍する女性が、一か月に一回だった検診を一週間に一回にしたところで、もしくは毎日検診をしたところで、梅毒を含めた性感染症の拡大をストップさせるとは、当然言い切れない。感染客がいつ女性と接触するかを店側が把握できないのは言うまでもなく、さらに悪いことには、感染している客自身が、自身の感染に全く気が付いていないパターンも多い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン