放送中の連続ドラマ『警視庁・捜査一課長season3』(テレビ朝日系)に出演中のナイツ塙宣之(40)の演技が注目を集めている。一部では「大根」なんていわれているが、回を重ねるごとにハマる視聴者が増加中だとか。その演技について、コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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お笑い芸人がシリアスなドラマに出ることは、いまや当たり前のようになっているが、まさかこの人が刑事ドラマにレギュラー出演するとは思わなかった。ナイツの塙宣之。『警視庁捜査一課長 season3』の奥野刑事役で奮闘中だ。
といっても、奥野刑事の仕事内容は犯人を追跡するわけでも、鑑識とにらみあうわけでもない。肩書は「警視庁一課長付運転担当刑事」。つまりは主人公の捜査一課長大岩(内藤剛志)の公用車の運転担当なのである。
事件が起きると、警視庁の廊下を課長と並んで小走りし、公用車のドアをささっとあけて出発進行。現場到着すれば、またさっとドアをオープン。これで任務完了?と思ったら、被害者の状況を課長とともに確認し、しばしばナイスな発見をするのである。
その発見は、例えば被害者が乗せられていたキャスター椅子の裏に「廃棄物ゴミシールが」とか、「シャツに武蔵野うどんのシミが」などととっても細かい。別の事件では被害者が持っていた丸い小さな布を「ヨーヨーキルトですね」ときっぱり。実は奥野刑事は妻亡きあと、子育てのために事務職に移り、10年ぶりに現場に戻ってきたのである。そのためか、職場では「女子力が高い」と言われ、打ち合わせではかわいいエプロンをつけて、課長たちに差し出すカップには、見事なコーヒーアートのにゃんこがこんにちは。すごいね、奥野刑事…。
10年ぶりの現場復帰ということで、奥野が大岩からつけられたニックネームは「ブランク」。テレビ朝日系のおじさん刑事でニックネームがつくのは、とても珍しい。しかも、いつも唐突に現れる刑事部長笹川(本田博太郎)からは、突然「君のことはスキップと呼ぶことにする」などと言われ、困惑。「ぼくにはブランクという名が…」と小さな声で反論したりして。ニックネームを自ら言う刑事もとっても珍しい。事件とはまったく関係のない笹川×奥野のシーンは、ほとんど漫才だ。
奥野刑事は「新陳代謝レベルだと3か月たつと別人レベルで変わっている」と関係者の外見の変化について分析したり、「ピンクを好む男性は世話好きが多い。私もです」と自分のピンク柄のネクタイを示したりと、うんちくトークも得意技。ナイツ塙といえば、Yahoo!を「ヤホー」、Googleを「ゴーグル」などと言い間違えるネタで知られる。そのため、いつか奥野刑事も何かボケを言い出すのではと、塙出演場面から目が離せない視聴者は多いはず。その意味では、番組に大いに貢献しているといえる。
塙は木曜日は8時からこのドラマ、9時からはBS朝日『お笑い演芸館+』で務める司会ですっかり「木曜日の男」だが、刑事でも漫才でも衣装はほぼ同じというのもすごい。さらに、これまで塙が何歳なのか考えたこともなかったが、今年40歳。平均年齢高めのテレビ朝日の刑事ドラマの中では、(ちなみに『相棒』の反町隆史は44歳)は、まだまだ若手だ。エプロンしたまま追跡し、見事は人逮捕!!なんて瞬間が、いつか、くるかも。走れ、塙デカ!