高齢ドライバーの肩身は狭い。高齢者が事故を起こすたびに大きく報じられ、国からは免許返納を促され、家族からも「そろそろ運転やめたら」と忠告される。いや、私はまだ車を手放すつもりはない!と免許を更新しようとすると、70歳以上に義務付けられる高齢者講習は「5か月待ち」なんてこともある。高齢者の人数が年々増えているにもかかわらず、指導員が絶対的に不足しているためだ。教室も足りていない。
教習所側にもこんな「負担」が発生している。
「高齢ドライバー用に階段の手すりを新たにつけたり、転倒に備えて絨毯にしたりと改修しなければならない。高齢者講習の指導員の資格を得るには、茨城県の中央研修所で研修を受けさせなければいけませんが、車だけで2日、二輪と四輪を合わせて3日かかる。その宿泊費と交通費も教習所側が負担します。高齢者講習は通常の教習に比べて儲けが少ないので、“増やしたくない”のが本音です」(自動車教習所関係者)
高齢者講習とともに、75歳以上に課せられる認知機能検査も高齢ドライバーの不安の種になっている。
「実技講習はなんとかなったが、認知検査は大変だった。例えば16枚のイラストを次々に見せられて、それを覚えなければいけないんだけど、途中でついていけなくなった。3年後にこの難しいテストで合格は無理。長い予約待ちをしても落ちる可能性があるのは恐怖だよ」(76歳・元会社員)