スポーツ

日拓ファイターズ伝説の7色ユニフォームがもたらした大混乱

抜群の制球力を誇った高橋直樹(共同通信社)

 プロ野球チームの親会社が変わることは、そうたびたびあることではないと今では思われているが、かつては猫の目のようにオーナーが変わった時代があった。1973年はじめに東映から日拓ホームに売却され、同年11月に日本ハムへとさらに売却されたファイターズと移り変わるあいだ、アンダースローのエースとして活躍した高橋直樹氏が、新規参入のオーナーによる新アイデアに驚かされた思い出を語った。

 * * *
 映画が斜陽産業となり、1973年に東映が球団を不動産会社の日拓ホームに売却。新規参入ということで奇抜なことをやって注目を浴びたいと、オーナーが知恵を絞った結果が「7色のユニフォーム」です。7種類を日替わりで着用する画期的な試みで、この年の後期(当時のパは前後期制)から導入されました。

 しかし3連戦だと3種類のユニフォームが必要だから、遠征になると運搬も大変。勝てばゲン担ぎで同じ色のユニフォームを着ることになったのですが、負けが多くて、結局3種類のユニフォームを着ることも少なくなかったですね(苦笑)。

 対戦相手とユニフォームの色がかぶってしまったり、ダブルヘッダーで負けると1日に2種類のユニフォームを着たりと、現場は大混乱しました。しかもシーズン終了後に日拓は球団経営から撤退、日本ハムに売却したので、結局7色ユニフォームはたった3か月で終わりました。オーナーは「プロ野球がこんなにカネがかかるとは思わなかった」と漏らしたそうです。

●たかはし・なおき/1945年大分県生まれ。1967年ドラフト3位で東映入団。ルーキーで13勝を挙げた。日拓、日本ハム、広島、西武、巨人を経て1986年に引退した。通算169勝。抜群の制球力を誇るアンダースロー投手で、1979年にマークした1シーズン11無四球試合はパ・リーグ記録。

■取材・文/鵜飼克郎

※週刊ポスト2018年6月1日号

関連記事

トピックス

モテ男だった火野正平さん(時事通信フォト)
【火野正平さん逝去】4年前「不倫の作法」を尋ねた記者に「それ俺に聞くの!?」 その場にいた娘たちは爆笑した
週刊ポスト
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン