スマホの世界は、ひと頃まではiPhoneを擁する米国のアップル社とアンドロイド陣営の韓国のサムスン社という対立軸だった。世界のスマホ販売台数シェアで言っても1位サムスン、2位アップルだが、現在、そのアップルを僅差の3位で追うのが中国のファーウェイだ。
サムスンやアップルのスマホは、日本ではNTTドコモ、au、ソフトバンクの通信キャリアとの結びつきが強いが、海外ではキャリアとの契約に縛られない、SIMフリースマホの利用者が日本に比べて多い。iPhoneのシェアが圧倒的な日本は、世界から見れば特殊なお国柄だともいえ、キャリアとの契約ではないSIMフリーのiPhoneを使っている人は、まだ少数派だろう。
それでも近年、月額料金がキャリアとの契約よりも抑えられるため、SIMフリー端末の利用者は増えてきているが、全体の契約者数から見れば10%弱というボリュームだ。この内訳を見ると、ファーウェイが躍進している。
たとえば2016年度のSIMフリー市場のシェアは、1位が台湾のエイスースで29.4%、ファーウェイは16.1%だった。ところが2017年度の上期にはファーウェイが26.1%、エイスースが22.7%と逆転し、2017年度通期ではファーウェイは31.5%(いずれの指標もMM総研調べによる)まで伸ばしている。
実際、直近の価格比較サイトのスマホ人気ランキングを見ると、お手頃価格のファーウェイ「P10lite」が上位を堅持し、20位までにファーウェイの端末は6機種もランクイン(エイスースは3機種)していた。ファーウェイとエイスースの勢いの差は、最近両社が日本に投入した新製品にも表れている。
エイスースの「Zenfone5」シリーズ3機種が従来通りSIMフリー端末なのに比べ、ファーウェイの「P20」シリーズは、「P20lite」がau向け、「P20Pro」がNTTドコモ向けで、何とSIMフリー端末は投入されなかったのだ。SIMフリー端末のユーザーからは「ガッカリした」という声も聞かれるが、メーカーのファーウェイからすれば、キャリアに採用されたことで、iPhoneやサムスンの「ギャラクシー」と同じ扱いに“格上げ”されたという思いだろう。
では、ファーウェイ端末はなぜ存在感を高めることができたのか。