「あっ、金持ちのヤツがきた~」「速いヤツだ~」──5月20日の深夜11時すぎ。東京・中目黒の路地裏にある居酒屋で、若い男性グループがグイグイ酒を飲んでいた。合流したメンバーが、遅れて参じた男性を指さして、大声を上げた。
そこにいたのは、2月25日の東京マラソンで16年ぶりに日本記録を塗り替え、1億円の報奨金をゲットした設楽悠太(26)だった。東洋大学時代は双子の兄・啓太とともに活躍し、箱根駅伝で3年連続で区間賞を獲得。卒業後はホンダに所属し、日本最高記録を樹立した。
「黒いTシャツに黒い薄手のジャンパー、紺色の9分丈のチノパンと、一見、地味な大学生風でした。初めはわからなかったのですが、一緒にいた人たちと『今日のレースが……』『社会人になってからの走りは……』と話すのを聞いてよく見たら設楽さんだったので驚きました。こんな庶民的な店にも来るんだ、と思いましたね」(居合わせた客)
熱くマラソンについて語り合っていた一行だったが、テンションが上がったのか2軒目に続き、3軒目に突入するとビールを片手に“一気コール”で大はしゃぎ。設楽はあまり酔っていない様子で、仲間の会話をニコニコと聞いていた。シメのラーメンを食べて帰路についた時、時計は午前2時を回っていた。
「ストイックな選手が多いマラソンランナーにしては珍しく設楽は酒席好きで、東京マラソンの時も『今晩、友達と飲みに行くのを楽しみに走った』なんて言っていました。1億円のボーナスをもらった後も『豪快に使います』とコメントしていましたね」(スポーツ紙記者)