プロ野球の連続試合出場で衣笠祥雄氏(2215試合)に次ぐ歴代2位の記録を継続中の阪神・鳥谷敬(36)。鳥谷は誰よりも早く甲子園に入り、黙々と練習することで知られる。昨年5月には、顔面に死球を受けてもフェイスガードを装着して出場。記録継続への執念は凄まじい。
金本知憲監督は、1998~2010年にかけて連続フルイニング出場の世界記録(1492試合)を達成し、連続試合出場も鳥谷に次ぐNPB3位の記録保持者だ(1766試合)。2004年に左手首を骨折しながらも出場を続け、片手で安打を放った金本監督なら、記録継続の苦難はよく分かるはずだ。
その一方で、2010年に金本監督のフルイニング出場が途絶えた際は、右肩の負傷で外野守備の返球が満足にできず、打撃も低迷。当時の真弓明信監督に「勝つために外れます」と自ら欠場を申し出ていた。内心では、鳥谷に“自ら申し出てほしい”と思っているのかもしれない。
そんな様々な思いの交錯する状況下で、同じ早大OBとして鳥谷に目をかけてきた球界御意見番の広岡達朗氏の指摘は手厳しい。
「連続試合出場? そんな記録は関係ありませんよ。サードにコンバートされる時に、『なぜ僕が代えられるのか?』と言わないといけなかった。しかし、定位置を脅かす存在がいなかったから、鳥谷は守備のスタートが遅くなり、守備範囲が狭くなっていた。すべての元凶は複数年契約です。どんな選手も歳には勝てない。“この一球”“この一打”というプレーができなくなった時に、惜しまれながら辞めるべきなんです」
※週刊ポスト2018年6月8日号