グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(69)が“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
角川春樹事務所会長兼社長、幻戯書房会長で俳人の角川春樹氏(76)が持ってきたのは、有名刀工と共作した「日本刀」だ。
魂を吸い寄せるが如く研ぎ澄まされた白刃を手に、眼光鋭く佇む角川氏は、数多の修羅場をくぐり抜けてきた。
「私はシャーマン体質で、魔物に襲われるのが見えた。その魔物を切るために、有名刀工の高羽誠と一緒に打ったのがこの刀」(角川氏。以下「」内同)
凡人には理解し難い、人知を超えた精神世界が見えている。
「人間がこの世に生まれたのは遊ぶため。困難に直面しそれを乗り越えるのも、人生ゲームを楽しむために必要です。もはや死の恐怖はなく生に未練もないけど、まだまだ遊び足りない。もう少しこの世を楽しみたいね」
今最も熱中するのが75歳から始めたボクシング。過酷なトレーニングで体を鍛え、「目指すは最強のシニアボクサー」とスケールが大きい。