寄生虫は魚に寄生するというイメージもあるが、実は肉や野菜にも生息している。有名なのは豚肉で、しっかり加熱してから食べるのが常識とされているが、牛肉も注意が必要だ。寄生虫学が専門の宮崎大学医学部教授・丸山治彦氏が解説する。
「牛の筋肉には無鉤条虫(むこうじょうちゅう)が寄生しています。表面を焼いても中では死滅せず、まだ生きている可能性があります。最近はレア状態のステーキや牛肉をタタキにして食べることが増えていますが、表面を軽く炙っただけでは安全とは言えません。無鉤条虫は体内に入り込むと、腹痛や下痢を引き起こします」
鶏肉の場合も、生はもちろん、鶏のタタキや鶏わさ(わさび和え)のように、軽く湯引きしただけの場合は要注意。
「トキソカラという寄生虫によって発熱や食欲不振などといった症状が起こります」(同前)
では、野菜はどうだろう。夏になるとみずみずしい野菜サラダに野菜スティックなど、生野菜を食べる機会が増える。愛知医科大学客員教授・伊藤誠氏が解説する。
「トマトやキュウリのように枝からぶら下がるタイプならあまり心配がありませんが、キャベツや白菜のような、地表で育てられる葉物には、魚や肉ほどではないにせよ、寄生虫や卵が付着する可能性があります」
その原因は、回虫。全長10センチ以上の長細い虫で、日本では「はらのむし」と呼ばれてきた。
「肥料に糞尿を使っている場合に虫卵(ちゅうらん)が紛れ込んでいることがある。市販の野菜では今はほとんどありませんが、糞尿を使うことにこだわっている有機野菜などの場合には、可能性がゼロではない」(同前)
※週刊ポスト2018年6月8日号