女性の家事時間を調べたところ、1996年は2時間37分。では、便利な家電が増え、男性の家事負担も増えた20年後の2016年は──2時間24分(2017年9月公表 総務省統計局「平成28年社会生活基本調査」)。なんと13分しか減っていなかったのだ!
どうやら家事に縛られ続けている日本の女性。それはどうしてなのだろうか。
「日本では、家事能力が女性としての能力や人格の評価基準となる傾向にあります。例えば、夫がしわくちゃのワイシャツで出勤すれば、妻がだらしないと思われ、ひいては、愛情が足りないのではと勘繰られてしまいます」
こう分析するのは、家事生活研究家の佐光紀子さん(「」内、以下同)だ。しかし実際は、家族への愛情の深さは、家事の出来栄えでは測れない。むしろ家事は家族でシェアすべきだと佐光さんは続ける。
最近では、家事をシェアする男性が増えてきたものの、1週間当たりの家事にかける男性の分担率は、アメリカの37%に比べ、日本は15%とまだ低い(OECD調べ)。これは、男性がやらないからだけではなく、女性の家事への考え方にも問題があるという。
「“夫に掃除を頼んだら3時間もかかった。私なら1時間ですむのに”など、夫のやり方に文句をつけ、“それならおまえがやれ”と、結局妻がやらされるケースも多いのです。これでは女性の家事は減りません。結果が同じならプロセスは見ない。その人のやり方を尊重するのも大切です」
家事シェアは主婦の負担を減らすことを前提にしているが、夫や子供も家事ができた方が本人のためになる。
「妻が体調を崩すなど、不測の事態が起きた時、夫は一切の家事を引き受けることになります。この時、普段から何もしていないと、家族はもちろん、妻の負担が増え、二重で苦しむことになります」
家事の成果は他人に見せるものではないため、自己満足となる。だからこそ、ハードルを上げず、自分と家族のため、家事を手放し、家族に任せてみてはいかがでしょう。
※女性セブン2018年6月14日号