現在46歳の台湾人が、日本統治時代の台湾で活躍した人々を独特のタッチのイラストで描き注目を集めている。彼の名は1972年生まれの呉旭曜(ペンネーム:KCN)。日本統治時代を知らぬ呉は、なぜ日本をテーマに選んだのか? 台湾を代表する現代アーティストの作品を紹介しよう。
【乃木希典〔日治台湾第三代総督〕】
1896年10月から1年余り、台湾総督を務めた乃木希典。乃木は「教育勅語」を漢訳して、台湾人の教育に取り入れた。1897年に視察に訪れた台湾北部の苗栗南庄で、ぬかるんで歩きにくい坂道を見た乃木が指示して作らせた石段は、今、「乃木坂(乃木崎)」と呼ばれている。乃木(第三代)、児玉源太郎(第四代)と、その後の日露戦争を勝利に導いた軍神が台湾総督を歴任していたことからも、日本の台湾統治への意欲がうかがえる。
文・作品解説■藤重太
【プロフィール】(ふじ・じゅうた)1967年東京生まれ。千葉県成田高校卒業後、台湾大学に留学。卒業後は、日本と台湾の企業民間交流のコミュニケーション・コーディネーターとして活動中。「台湾から日本の原点回帰を」がモットー。
※SAPIO2018年5・6月号