車には必ずクラクションが付いているが、好きな時に鳴らして良いわけではなく、鳴らしても良い状況、鳴らさなくてはいけない状況などがきちんと定められている。では、自動車の運転手からすれば危険に見える“ふらつき自転車”に警笛を鳴らすと罪になってしまうのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
都内の中野通りは車道の脇に自転車通行OKのペイントがなされています。先日、私の車の前を走っていた自転車が、ふらふらしていたので危険回避の目的で、クラクションを鳴らしました。その結果、運転者は驚き転倒しそうに。こういう場合、警笛を鳴らしてケガをさせたら、私が罪に問われるのでしょうか。
【回答】
自転車レーンが標識で示されていれば、自転車専用通行帯となり、自転車はこの通行帯を通行する義務があり、それ以外を走行することはできません。自転車通行OKのペイント表示は自転車レーンの標識ではなくても、原則に従い、道路の左側端に寄って通行する義務があります。
ふらふらと道の真ん中に出てくる自転車は、この義務に違反していることになります。しかも、危ない走行です。つい警笛を鳴らしたくなる気持ちも理解できます。
しかし、クラクションは見通しの利かない交差点や曲がり角、あるいは上り坂の頂上で道路標識等により、指定された場所を通行しようとする際に鳴らす義務はありますが、それ以外の場所では「法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない」とされています。なぜなら、むやみに鳴らすと運転者の注意をひきつけ、かえって危険になるからです。